日本と中国の正月料理に登場する縁起物いろいろ

2017-02-05

中国では春節(旧正月、今年は1月28日)を新たな年として祝うが、日本では元旦を祝う。祝う日は異なるものの、どちらも、正月には語呂の良い縁起を担いだ食べ物を食べることで、その年の幸運を祈るという共通点がある。(文:徐航明。瞭望東方周刊掲載)

日本では、これらの縁起をかついだ食べ物を「縁起物」と称し、正月にそれを食べることで新たな年の幸運を祈る習慣がある。

日本では特に「縁起物」とされ、正月前にしか売られていない野菜がある。中国人には見当もつかないかもしれないが、その野菜とは「クワイ」。

中国から伝来したとされるクワイについて、中国・明の医師で本草学者の李時珍は、「クワイは1年で1本の根に12個の実がなる。その姿は慈愛溢れる母親が子供たちを養育する姿のようで、そのほろ苦さは生活を切り盛りする年長者の苦労のようだ」としている。筆者の記憶では子供の頃、春節になるとクワイと肉の炒め物がよく食卓に並んでいたのを覚えている。その独特のほろ苦さと肉の香りは、今も思い出すことができるほどだ。

しかし日本ではクワイに「苦味」という意味合いはなく、また普段の食卓に並ぶこともない。正月のおせち料理でしか食べることのない一品で、その作り方も皮をむいて、砂糖と塩を加えて炊くだけと、とてもシンプルだ。ただ、皮はむいても、芽は残しておかなければならない。なぜなら、芽が出ていることから「芽が出る」(仕事などで出世する)という語呂合わせの出世祈願として食べられるからだ。

中国人は正月に餅を食べるが、それは餅という中国語の発音が年々生活が向上するという意味の「年高」と同じためだ。また日本人も正月に餅を食べるが、その理由は中国と異なり、餅が長く延びて切れないことから、長寿を願う意味が込められている。

また中国では「魚」と「余」の発音が同じであるため、余裕ある暮らしができるようにという願いを込めて、正月に魚が食べられる。日本人も、正月に魚を食べるが、食べる魚の種類や調理方法も中国とは異なり、やはり色々なこだわりがある。

日本で正月に欠かせないのが「鯛の焼き物」。これは「めでたい」の語呂合わせで、縁起がいいからだ。また、卵の数が多い「数の子」も子孫繁栄を願って食べられるほか、「田作り」というカタクチイワシの佃煮はイワシの幼魚を田の肥料としたところ五万俵ものコメが収穫できたといういわれがあり、五穀豊穣の願いが込められている。エビも縁起物で、ひげが長く腰が曲がっている様子が高齢者に似ていることから、長寿を祈願して食べられる。

また、おせち料理には「昆布巻き」と「黒豆」も欠かせない。昆布巻きは、「喜ぶ」の語呂合わせで、黒豆は「黒」く日焼けするほど達者(マメ)に働けるようにと長寿と健康(無病息災)を願って食べられる。その他、栗餡や芋餡を練った栗金団は、金銀財宝を意味しており、金色の団子を食べて金運を願い、穴が多数あり将来の見通しがきくという意味の縁起をかついだレンコンも縁起物として食べられる。

中国北方では、大晦日に餃子を食べる習慣がある。それは、行く年と来る年が交わる時期を「交子」と呼び、その発音が餃子と同じため、新年を迎えるのに縁起が良いからだ。

日本では大晦日に「年越しそば」を食べる。その習慣は江戸時代に定着したとされ、蕎麦は他の麺類よりも細く、切れやすいことから「今年一年の災厄を断ち切り、心機一転新年を迎える」という意味で、大晦日の晩の年越し前に食べられる。(編集KN)

「人民網日本語版」2017年2月4日

人民網日本語版

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