中国の熱烈なファン3人が語る松山バレエ団 (三)

2017-05-25

◆私心なき協力

上海バレエ団団長の辛麗麗さんも森下さんとの深い縁の持ち主だ。

1987年と2007年の2回にわたり、ニューヨーク国際バレエコンクールで偶然出会い、バレエに人生を捧げる二つの魂が離れがたい縁を結ぶことになった。辛さんは、「彼らはバレエを神のように崇めていた。森下さんは60歳でも『くるみ割り人形』を演じていた。私は当時、それを見ながら思わず泣いてしまった。芸術のために狂おしいほどにすべてを捧げるその精神に驚かされた」とした。

辛麗麗さんは松山バレエ団の「白毛女」について、「清水正夫・松山樹子夫妻とその息子の清水哲太郎氏、それから森下さんと中国の間には、切っても切れない縁がある。周恩来総理は1971年、私たちのバレエ団が作った白毛女の衣装をプレゼントした。その後、この白毛女のかつらが古くなっているのを見て、彼らにサプライズで、新しいかつらを森下さんにプレゼントした」と語った。

かつての恩を今も忘れず。松山バレエ団は中国からの贈り物を今も心に留めている。

上海バレエ団が「くるみ割り人形」の公演の練習を始めようとしていることを耳にした清水氏は自ら代表団を率いて上海に駆けつけた。そして松山版の「くるみ割り人形」を無償で、余すところなく披露した。また辛さんからの電話で、バレエ用の衣装の生地を購入しようとしていることを知ると、清水氏は「麗麗さんが必要なら私がプレゼントします。日中友好のため、バレエ外交のためにも必ずサポートします。私たちはアジアのバレエ、中国のバレエを振興するのです」と言ったのだという。

清水氏は1985年の回想録の序文に「私が専攻したのは河川、港湾、道路、建築などだったが、今後は文化交流という中心的な課題をめぐり、バレエという日本で新興した芸術を用い、日中両国間に橋をかけることを決めた。小さな橋であっても、自分の一生を捧げる」と記した。

人民網日本語版

モデルコース
人気おすすめ