中国でスマホ決済が「生活インフラ」に ビッグデータが新サービスを生む

2017-12-15

中国ではスマートフォン(スマホ)決済が「生活インフラ」として定着している。約14億人の消費市場での決済は2年で6倍に増え、年間39兆元にも達した。簡単にお金を徴収できる仕組みは起業家スピリットを刺激し、波状的に新しいサービスを生んでいると、日本メディアが報じた。

日本経済新聞によると、「(船着き場を出ると)何十人もの車屋(馬車の御者)が包囲した」。1921年、芥川龍之介は上海を訪れた時の第一印象を「不気味に感ずる」と記した。それから1世紀。船は飛行機に、馬車はタクシーに姿を変えた。

中国は今、消費生活とお金の流れがガラリと変わる転換点に立つ。スマホ決済は3年ほど前から急拡大し2016年に総額で39兆元と日本の国内総生産(GDP)を上回った。

約14億人の巨大な消費マネーを追い求め、起業家がシェア自転車や生鮮食品の30分配送など斬新なサービスを世に送る。利便性が高まって消費者に浸透し、それが新サービスを呼び込む。

日銀のリポートでは店頭でスマホ決済を利用する人は日米独が2~6%だが、中国では98%が「3カ月以内に使った」と答えた。

アリババの「支付宝」(アリペイ)の場合、1日の決済件数は1億7500万回に及ぶ。アリペイを使うには実名や身分証番号の登録が必要だ。支払金額や商品、店舗名などの消費情報が、名前や年齢といった個人情報とひも付いた形で毎秒2千件のペースで蓄積される。

「データは新しい石油になる」。アリババの馬雲会長はビッグデータ解析や人工知能(AI)が進化する今のビジネス環境において、膨大なデータはなくてはならない「石油」だと主張する。

この現代の「石油」で何ができるのか。カギを握るのが、アリペイの「芝麻(ゴマ)信用」というサービスだ。

「ゴマ信用」を開いてみた。利用者の信用力を950点満点で評価し、スコアは勤務先や学歴など個人情報を追加入力すると増す仕組み。個人情報の入力を避けている記者の信用力は590点だが、頻繁に使うという知人の中国人に聞くと840点と高い数字だった。

信用力が高いとシェア自転車の保証金がタダになったり、海外旅行の際にWi―Fiルーターが無料で借りられたりするなど様々な特典が付く。この特典目当てに中国の消費者はこぞって個人情報を登録する。アリペイのデータは厚みを増すと同時に、信用スコアの信頼度が高まる。

信用力評価は多くのビジネスで重要な意味を持つ。富裕層にアクセスしたい高級ブランド店や、所得水準に合わせ効率的に広告を打ちたいメーカーなども、アリペイの信用情報を活用し始めている。中国では今、アリペイが見つけた「宝の山」に多くの企業が群がっている。アリペイを運営するアント・フィナンシャルの陳竜・最高戦略責任者(CSO)は「中国ではフィンテックはすでに生活に深く浸透している」と話す。

「中国網日本語版(チャイナネット)」より

中国網日本語版(チャイナネット)

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