寒い冬にふと思うストーブにまつわる話

2018-01-18

冷たい風は北京の冬の到来を告げています。冬になると青春時代に、友達とストーブを囲んで夢と未来を語り合った思い出が浮かびます。今回は、寒い冬に暖かいストーブを囲んで喋る物語をお伝えしましょう。

冬の楽しみ

冬の朝、起きてから暖房を入れた温かい部屋の中で携帯でニュースやwechat(微信)のモーメンツを読んで、窓の外の北風に舞う枯葉を見ていると、携帯の無い昔の人たちは、どうやって不便な冬を過ごしたのかと考えてしまいます。

そんな中、ふと1000年前の唐の詩人・白居易が友人の劉十九に贈った詩作「劉十九に問う」を思い浮かべていました。「緑蟻新醅酒 紅泥小火炉 晩来天欲雪 能飲一杯無(出来たての濁り酒が緑色に泡立ち本当に美味しそうだ。火鉢の練炭も起きて、部屋はポカポカ今晩は雪のようだ。一杯やろうか)」簡単な詩句は温かい思いやりに溢れる冬の夜の場面を描いています。寒い夜に友人と火鉢を囲んで、お酒を飲んだり歓談したりすることは昔の人たちの冬の楽しみだったのかもしれません。

ストーブ傍の「文化サロン」

昔の北国の冬は激しい風や牡丹雪が降っても、部屋の中で家族と一緒に温かい火鉢やストーブを囲んで、年配の人たちの人生経験を聞いたりして過ごしていました。子供たちがストーブの周りで遊んだりしている様子も含めて、冬の家族のぬくもりを感じさせます。これも冬の温かな風物詩と言えるでしょう。

また、古代の多くの文人たちは、長い旅の苦労を惜しんでも知己や尊敬する品格ある人を訪ねました。友人たちと温かいストーブを囲んで人生の経験や旅の見聞、それに自分の考えなど様々な話を分かち合って、知己と出会う幸せな時間を楽しみました。清の初期、学者の呉喬が編集した詩集「囲炉夜話」は当時、多くの文人たちがストーブを囲んで暖を取ると共に、みんな心を開いて喋り合い、弁論して知恵と思想をぶつけ合う作品です。ある意味、この温かいストーブの傍の集まりは文化のサロンと言えます。

過去の懐かしい思い出

今、ストーブを囲んで暖を取る人はおそらく少なくなっているかもしれません。特に、大都会では火鉢やストーブなどは、珍しいものになっています。人と人との交流や情報交換では、携帯やパソコンで手軽にできるようになっています。今となっては、風雪の中を歩いてストーブの傍の集まりに行く人はほぼいないでしょう。

インターネットは人の互いの距離を縮めてくれますが、しかし、人々の心と心の距離はますます遠くなっているようにも感じます。いつの間にか温かいストーブを囲んで喋っていたことは、私たちが語る過去の懐かしい思い出になっています。

「中国国際放送局」より

中国国際放送局

モデルコース
人気おすすめ