中国を理解するための中国語・保安三问

2018-05-27

【保安三问】(bǎoān sānwèn)

[名連]警備員三つの問い.

直訳すれば、「警備員の三つの質問」、そしてこの表現自体には何の変哲もないのですが、ふとした拍子でその問題の中身が「哲学的」であることが発見され、数年にわたってネット上で話題になっていたものです。

中国で生活経験のある方であればご存知かと思いますが、中国の大学や小中学校、そして団地の入り口には住人の安全のために警備員がフツーに配置されています。知らない人が内部に入ろうとすると、まず、尋ねられる、或いは受付のフォームに書き込まなければならない内容があります。それはまず名前(「あなたは誰か」)、次に所属先(「どこから来たのか」・「どこの組織の人間か」)、そして訪問先(「どこの誰のところへ行くのか」)を聞くわけです。日本でも放送局などの場所に行くと必ず聞かれるこの三つの質問、一見別に変わった点はないのですが、これには哲学的深い意味合いがある、とネットで話題になりました。我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか、まるで聖書で見たような、ゴーギャンの絵で見たようなこの問題に、「哲学的すぎる」と多くの人が反応したのです。

この「私は誰なのか」、「私はどこから来たのか」、「私はどこへ行くのか」は今回の文脈で行くと、次に何処かで聞かれた時に(不謹慎ですが)楽しむこともできますよね。何と言っても、学校の警備員が人間の存在価値の根本をつく質問をしてくるわけですから。

さて、この「保安三问」から、ほかの職業の「三问」も派生してきているようです。例えば、「食堂三问」(食堂での三つの質問)。「要哪个(どれ食べますか?)」、「要多少(どのぐらいいりますか?)」、「要不要(要りますか?)」。日本の社食などでもありそうですね。

他にも、高校や大学などでは「自习三问」(自習に関する三つの質問)がよく聞かれるそうです。「有人吗(この席に誰かいますか)」、「会做吗(この問題解けますか)」、「懂了吗(わかりましたか)」。これは図書館で使えそうですね。

「情变三问」というのもあるそうです。恋人の浮気を発見した時に使うようですが、「你是谁(あなた、誰よ・お前、誰だ?)」、「他是谁(彼・彼女は誰なの)」、「我是谁(私はなんなのよ・俺はなんなんだ)」と、怖い質問ですね。

会社でもあるそうです。上司からよく聞かれる「领导三问」(上司の三つの問題)というもので、「怎么想(どう思うか)」、「怎么干(どうやって片付けるか)」、「怎么办(どうするか)」というものです。

他にも、「晚饭三问」(晩御飯の3つの問い)というのがあるようです。「吃什么(何を食べるか)」、「和谁吃(だれと食べるか)」、「去哪吃(どこで食べか)」というものですが、これは親や配偶者などから詰問されているような場面が浮かんでゾクゾクしますね。

こう見てくると、実はあまり意味のない駄洒落の連続なのですが、それを深々と考える若者たちの心理というのは興味深いものですね。

「中国国際放送局」より

中国国際放送局

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