中国の昔話・「始めてあう」

2018-07-15

食いしん坊の植さん、宴に呼ばれるといつも下を向き食べてばかりいて、同席の人とも話さない。これを知った妻がみっともないという。

ある日、植さんはまた宴に呼ばれた。この日の同席者はこの前と大して変わらないのだが、妻の言葉を思い出し、今日は何が何でも一度は同席の人々に声をかけようと口をあけた。が、みんな「あんたとは始めてあう」という。

「何を言うんだ。この前だって同じ卓で食べたでしょう」

「ええ?この前の宴で同じ卓に坐ったって?」

「ああ!あの時は・・」と植さんは、当時食べた料理の名前を並べた。これに同席の人々は不思議がったが、黙っているだけ。植さんは苦い顔して黙ってしまった。

やがて酒肴が運ばれてきたので、植さんはいつものとおり、顔も上げずに食べはじめた。しばらくして同席の人々が言い出した。

「ああ、ああ!あの時確かに黙って飲み食いしているだけで、顔も上げない人がいたが、それがあんだだったのか!!道理で顔かたちがわからないわけだ。いまそれがやっとわかった!」とね。

「中国国際放送局」より

中国国際放送局

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