中国詩勉強、杜旬鶴・「夏日悟空上人の院に題す」

2018-07-18

作者、杜旬鶴は晩唐の詩人。安徽省池州の人。杜牧の落胤とも言われていますが、親子の対面をしたというのは伝わっていません。科挙に合格し、出世もしましたが性格は傲慢だったため、人の恨みも買ったようです。人柄とは反対に詩には長けていて、また琴の名手でもあったようです。タイトルの悟空上人は、おなじみ孫悟空とは関係ありません。「一衲を披く」の衲は僧衣、衣のこと、披くは着るという意味です。

一番暑い時期に山門を閉ざし、きちんと僧衣を着て、なおかつ木陰もない。暑い日差しが照り付けているのでしょう。「暑い」とは一言も言っていませんが、その暑さは充分伝わります。「安禅」は禅の境地。最後の一句、「心頭滅却すれば火も亦た涼し」は、甲斐の恵林寺で織田・徳川の連合軍に焼き討ちにあった時、快川和尚が燃え盛る火の中で唱えたと言われている有名な句です。私は受験生の頃、夏休みに勉強していて「暑い~!」と言ったら、父がこの一句を言ったことを懐かしく思い出しました。暑さを乗り切るのに必要なのは、クーラーでも冷たい飲み物でもなく集中力なんですね。

「中華網日本語版」より

中華網日本語版

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