悠久な歴史を持つ中国の首都・北京、伝統的な町並みから高速発展するイメージが併せ持つ国際都市ですが、実は自然風景もなかなか一見する価値があります。今回は四季がはっきりとしていて、一年中では違う顔を見せてくれる北京の「春」のお花見の楽しみ方を紹介しましょう。
列車S2線
北京から延慶駅と沙城駅へ向かう列車の「S2線」は「春への列車」と呼ばれています。S2線に乗って万里の長城の居庸関にある黒いトンネルを通過すると、パッと世界が変わります。
「居庸関」はかつて戦争中の要所だった関所ですが、戦争の残酷さが窺える傷跡だけが城壁に刻まれ、今は春の北京の人気スポットの一つとなりました。
延々とその先が見えない万里の長城、そしてくねくねと延びる山々の上に、さくらが乱れ咲き、遠くから眺めると非常にインパクトがあります。長城を登ってお花見を楽しむも、S2線に乗って列車の中からお花見を楽しむも、二つの違う楽しみ方があります。
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1)三月下旬から四月上旬が一番の見ごろとなり、お花見の一番いい時期は20日ほど。
2)地下鉄の8号線と13号線で「霍営駅」に下車し、G4出口から200メートルぐらい歩いて、「黄土店駅」で乗り換えるのがおすすめ。
3)北京の交通カード「一卡通」が利用可能。
頤和園
春の頤和園には美しい風景が、皆さんを待っています。毎年3月の下旬になると、湖に沿って桜が満開し、多くの観光客と撮影愛好家を惹きつけます。
冬の寂びた風景から一変し、凍った湖が融け、青々と透き通るような湖の周りに生え茂る木々、湖でボートを漕ぎながら清清しい空気を吸い込むのは、まさに春の風物詩と言えましょう。
ここもさくらの名スポットですが、玉淵潭ほど人気ではなく、多くの人は世界遺産である頤和園を見に来るついでにお花見も楽しみます。ここは中国に現存する最大規模の皇室庭園で、中にある建物の一つ一つは芸術性溢れ、見所がたくさんあります。熱くも寒くもない春で、お花見をしながら園内を観光するのは最高でしょう。
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住所:北京市海淀区新建宮門路19号
北京植物園
北京で人波を避けて静かにお花見をしたいのなら、人気で人がたくさん押し寄せる玉淵潭公園より、北京植物園のほうがおすすめします。
ここの桜の木は公園の東南門と南の湖の近くにあり、数はそれほど多くないのですが、観光客は割りと少なくとても静かで、ゆっくりお花を眺めることができます。また、周りの風景もきれいで、心ゆくまで自由に写真を撮っても構いません。
広い公園なので、桜のほかには蘭や梅などの花も堪能できます。一人でぶらぶらとお花見に行きたいなら、ここが一番おすすめでしょう。
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住所:北京市海淀区香山南路
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いかがでしょう。列車から眺めるさくら、植物園にあるさくら、世界遺産にあるさくら、北京ではいろいろのお花見の楽しみ方があります。短い北京の春に、この限られている時間をよく利用してお花見をしましょう~