立春、今も受け継がれる古代の風習

2020-02-04

古代の人々の長期にわたる経験と知恵の結晶である「二十四節気」は、現代の我々の日常生活とも密接な関係にある。一年の計は春にあり。立春(今年は2月4日)は、万物がよみがえる春の始まりを示している。現在、立春は農業の節気にとどまらず、中国人が自然の変化を感じ取り、人生について深く考える日となっている。立春から、全てが始まるのだ。人民網海外版が伝えた。

打春--豊作を祈る古代中国の習慣

古代、立春には「鞭春」「打春」という慣わしがあった。これは、土で作られた牛「春牛」を鞭を使って叩くというもので、人々は新たな1年の五穀豊穣を祈った。

皇宮に始まった「打春」の習慣は、唐・宋代に盛んに行われた。特に宋の仁宗皇帝が「土牛経」を発布してからは広く伝わり、民俗文化における重要な習慣となった。

この習慣は、かつては儀式的な要素を多く含んでいた。古代の農業はほぼ神頼みであったため、一家全員が神をあがめていた。このことから、立春の慣わしも祈祷が主となった。現在、ほとんどの農村ではこうした習慣が失われ、農業生産も科学化が進み、「打春」に関連する「舞春牛」、「鬧春牛」といった習慣も儀式的な意義を失い、一種の芸術となった。

咬春--健康を願う慣わし

中国人の伝統行事の多くは食べることが中心であり、これは節気においても同様だ。立春にはダイコン、春餅、春巻などを食べる習慣があるが、これらの総称を「咬春」と言う。

古代の人は健康のために食事療法を重視していた。「咬春」も健康に役立つ習慣だ。「咬春」で使われる食材(ダイコン、キニラ、ニラなど)は辛味のある食べ物で、中国医学の世界では「辛甘発散は陽と為す」と言われるように、陽の気を守るのに役立つ。

立春を過ぎると天気が暖かくなり、様々な病気をもたらす細菌やウイルスが繁殖しやすくなる。現代医学で言うインフルエンザや髄膜炎、はしか、猩紅熱、肺炎などが発生・流行しやすい。このため、古代の人々は食べ物に気をつけるだけでなく積極的に体を動かし、体のエンジンをかけ、筋肉や骨を活性化させ、抵抗力を高めようとした。これが春遊(春のピクニック)の始まりとなった。

迎春--吉祥を祈る気持ちは古代も今も同じ

「迎春」は最初、国が執り行う祭りの儀式だった。その後、「宜春帖(文字を書いた紙を門に貼る)」や「挂春幡(春幡と呼ばれる旗を立春に掲げる)」など、シンプルで面白みのある慣わしが、徐々に民間へと広まっていった。

春が到来すると、門の周りの壁に「宜春(良い春)」と書かれた紙を貼る。この習慣は唐代の長安ですでに行われていた。江南では、立春には門に「迎春春来、接福福到」の字が書かれた紙を貼る。内陸部の迎春の習慣は大きく異なる。例えば陝西省銅川市には古くから伝わる「戴春鶏」という慣わしがある。立春の日に、母親が布で3センチほどの雄鶏を作り、子供の帽子のてっぺんに縫い付ける。「鶏」と「吉」は中国語で同じ音で、吉祥を祈る気持ちを表している。

つまり、いつの時代も、どこであっても、立春に全てがうまく運ぶことを祈るという点だけは共通している。今日、農耕時代の考え方はすでに過去の物になり、当時の風習はだんだん廃れてきたが、吉祥を祈るという気持ちは今も変わらない。外在的な形から内在的な願いに変わっただけだ。(編集SN)

人民網日本語版

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