中華料理から学ぶ中国の食文化

2020-02-10

中国は多分「食文化」の最も古い国家であろう。料理の調理法が幅広く精緻であることは言うまでも無く、料理名も多彩美麗である。食文化は料理名に直接反映されるので、命名は非常に重視され、雅名は絶妙で人口に膾炙される。ピッタリの命名或いは生き生きとした伝説は人々に絶賛され、趣のある名は歴史的典故を内包している場合が多く味わい深いものがある。俗名もユーモアがあって大笑いのネタとなり、料理名で人をアッといわせる効果がある。

命名は主として材料、味、形、色、質、季節、調理法、地名、人物、典故、比喩、寓意、懐古、数字などに根拠している。

材料からの命名

“荷葉鶏”、“鰱魚豆腐”、“羊肉団魚湯”など

味からの命名

“五香肉”、“怪味鶏”、“酸辣湯など

形からの命名

“桜桃肉”、“太極芋泥”、“菊花魚”など

色からの命名

“金玉羹”、“玉露団”、“琥珀肉”など

季節からの命名

“冬凌粥”、“秋葉餅”など

調理法からの命名

“滑熘里脊”、“粉蒸肉”、“干炸帯魚”など

地名からの命名

“北京烤鸭(ダック)”、“南京板鴨”、“涪陵搾菜“など

人物から命名

“東坡肉”、“文思豆腐”、“宮爆鶏丁”など

典故からの命名

“柳浪聞鶯”、“掌上明珠”、“陽関三畳”など

比喩、寓意、懐古からの命名

“通神餅”、“竜鳳腿”、“竜眼包子”、“麒麟魚”、“鴛鴦魚片”、“螞蟻上樹”など

数字から命名

“一窝絲”、“二色膾”、“三不粘”、“四美羹”、“五福餅”、“六一菜”、“七返糕”、“八宝飯”、“九 絲湯”、“十遠羹”、“酒酔十三蠔”、“二十四気餛飩”、“五彩牛百葉”、“八宝三味梨”、“百鳥帰鳳”、“千層糕”、“万年紫鮑”など

下記の例のように、宴会にも様々な名称が付けられている。

全魚席、全羊席、全鴨(アヒル)席、全素(精進)席、満漢全席、燕窝(ツバメの巣)席、熊掌(熊の手)席、魚翅(フカヒレ)席、海参(ナマコ)席、寿(長寿)宴、喜(結婚)宴、除夕(大晦日)宴、避暑宴、迎春宴、孔府(孔子の家に伝わる調理膳)宴、百鶏(鶏料理百膳)宴、千叟(老人)宴など枚挙に暇がない。

“食文化”のもう一方の重要な要素は造形であろう。造形といえば包丁技術も語る必要がある。中国料理の包丁技術には切る、打つ、叩き切るなどがあり、包丁の使い方には直刀、平刀、斜刀、奇立刀などがある。そして、作り出される材料の形状には塊(ぶつ切り)、段(小口切り)、条(拍子切り)、絲(千切り)、片(薄切り)、丁(賽の目切り)、粒(粒切り)、茸(みじん切り)、末(小さなみじん切り)、泥(叩きオロシ)などがある。現代中国の包丁技術の名称は200種をくだらない。

料理の造形はその形状が重要なばかりではなく、色彩効果も重要である。原則として原材料本来の色彩を保ち、色の組合せも合理的でなければならない。調理過程で食物の色は変色してしまうことが多いが、原材料本来に色を保持或いは目的とする色に変化させることが必要であり、この創作上の問題を解決することは高等技術を必要とすることは言うまでもない。

瓜彫刻、卵絵、しんこ細工などの絶妙な造形は古来からある。例えば《焼尾宴食単》には、しんこ細工の蓬莱仙人70人を蒸篭で蒸し上げて作るとの記載がある。《春明夢余録》には、レイシ60kg、棗柿120kgを積み重ねて果物盛合わせを作ったとの記載がある。《清異録》には、尼姑梵正は各種食物を使って20ヵ所の風景を模した大きな盆栽を造形したとある。五代呉越地方では、塩漬け魚を使用して牡丹を造形し、本物と弁別不能であったと言われている。陸游の詩に“梅青巧配呉塩白、笋美偏宜蜀鼓香。素月対銀漢、紅螺斟玉醪。染丹梨半頬、斫雪蟹双螯。黄甲如盤大、紅丁似蜜甜”とあるが、これを見ても分かるように昔の人の“食文化”に対する造詣の深さは、今の人々に負けていないことが如実に感じられる。

中国網日本語版(チャイナネット)

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