これは千年に一度の奇跡的な合同展覧会である。約半世紀ぶりに殷墟出土の一対の「婦好鴞尊(ふこうきゅうそん)」と山東省蘇埠屯出土の「青銅亜醜鉞(せいどうあしゅうえつ)」が北京で再会を果たした。
同時に、近年発掘された「最先端」商文化文物のデビュー展でもある。
4月「全国十大考古新発見」に選ばれた盤龍城と琉璃河遺跡から、重要文化財が特別出品されている。特に「青銅把手付き觚形器」は、觚(こ)の胴体に爵(しゃく)の口、斝(か)の把手を融合した全国唯一の酒器で、考古学界の注目を集めている。
専門家によると、この器は長江流域と中原文明の交流を物語る芸術的・歴史的価値が極めて高い。
展示室では、中国考古学界の最高栄誉「全国十大考古新発見」を受賞した8遺跡10プロジェクトの代表文物が勢揃いしている。
四川省広漢三星堆遺跡の「黄金仮面青銅人头像」、江西省新干大洋洲遺跡の「獣面文青銅冑」「蝉文青銅大刀」など、殷商時代を代表する超重要文物も登場。
展示室の一角ではユニークな文物も目を引く。例えば上部に2羽のオウムが背中合わせに彫られた白玉璧(ぎょくへき)と長方形の硯(すずり)のセットは、当時すでに筆が普及していたことを示す貴重な資料だ。
この展覧会はさらに没入型体験で新次元を開いた。
展示室ではインタラクティブスクリーンに司馬遷が登場。「太史公は嘘をつかぬ!なぜ信じぬ!」と叫びながら、武丁王・婦好・紂王らと対話できる仕掛けが人気を集めている。
MRデバイスを装着すれば、「龍形觥(りゅうけいきょう)」の蓋を開けたり、「崇陽銅鼓」を叩いたり、「婦好鴞尊」を仮想空間で受け渡す体験が可能。
スタッフによると、青銅鼎内部の精緻な文様観察や3000年前の銅鐸(どうたく)の音色再現など、8文物の新たな鑑賞角度を開発したという。
「甲骨風雲」没入型体験空間では、観客が商の人に変身。武丁王と婦好の占卜に参加し、戦車に乗り込んで戦鼓を鳴らす体験が可能。3000年前の草原の香りまで再現される「五感体験」だ。
技術責任者によると、この没入体験は「実写体積映像+体感床+香り再生システム」を統合した国内初のVR技術を採用。現在「婦好鴞尊」の蓋開封メカニズム解明など新コンテンツ開発も進行中という。
これは正に、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を組み合わせたブロンズの旅である。



