もし時が戻れるなら、どの瞬間に戻りたいですか?
もしかすると、ここに来れば答えが見つかるかもしれません。
房山の地に、山影と木々の冠に覆われた百年の歴史を刻む中庭が佇んでいます。
真昼には、太陽がほぼ垂直に輝きます。
竹の影が指し示す方向に進むと、やがて中庭の門に辿り着くでしょう。
この宿の名「おばあちゃんの家」が示す通り、庭全体は古い家屋の面影を残しています。
石積みが木の梁を支え、庭の壁は緑の山々にもたれかかるように寄り添っています。
戸や窓の木目を指でなぞると、記憶がたちまちこの夏と繋がる瞬間が訪れます。
設計士がこの庭を初めて目にした時、童年の記憶が脳裏に甦ったと言われています。




