中国漆器・貴州大方漆器

2012-12-25

中国南方の貴州省、大方県は、中国内でも有数の漆器生産地として知られている。大方で制作される漆器は貴州の豊富な民族文化と地方特色を反映し、茅台酒、玉屏簫笛とともに“貴州三宝”に数えられる。一般家庭では、乾燥果物や砂糖漬けなどを盛る器として、日常生活で漆器が使用されている。

大方漆器の制作は、明代の洪武年間(1368-1399)に始まり、すぐに宮廷への貢物として献上されるようになった。清代の道光年間(1821-1851)には広く流行して最盛期を迎え、当時、大方の村内ほとんどの家が漆器制作に関わり“漆城”の名で称えられた。

貴州大方県は、漆樹の栽培を始めて1000年以上になる。生産量が豊富な大方生漆は、品質が良いことで国内外から高く評価されている。気候や土壌など自然環境に恵まれ、県内各地で漆樹が栽培されて、年間100トンもの漆が生産される。大方漆の生産は省内一、全国でも6番目の生産量を誇る。百納、長石、沙工、瓢井などが主要な生産地である。

大方漆器は、色鮮やかで耐久性に優れている。熱伝導が弱くて匂い移りせず、虫、湿気、酸化、腐敗などに強くて色褪せしにくく食器として最適である。また大方漆器の基本となるベースには、木材だけでなく牛、馬、羊など家畜の皮革や、綿、麻、錦などが使用されることも大きな特徴である。

柄は上品で趣があり、造型は簡潔だが、人の影を映すほど艶やかなツヤがある。装飾技法は、陰花、明花、退光などの伝統手法のほか、明光、印漆、台花、金花、銀刻、五彩嵌花など100種類以上がある。浮花、平花、暗花など技法で山水などの風景、季節を表す草花、鳥や動物、風土人情など郷土色豊かな自然が表現されている。これらの精巧な工芸技法は中国民族の知恵と創造を体現したものである。漆器産品は杯、盆、碗、瓶、壺、漆画や家具など400種類以上にのぼる。北京粉灸博物館に所蔵されている漆器類の中には、多くの大方漆器が含まれている。

大方漆器は1942年、パナマ国際博覧会で銀賞を受賞した。実用的な彩活日用品として、また芸術性の高い美術工芸品として大方漆器は世界中から親しまれ、1950年代以降は、日本をはじめアメリカ、イタリア、ベルギー、シンガポールなどにも積極的に輸出されている。

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