北京兎児爺

2021-10-12

泥で作った彩色の兎児爺の塑像は北京地区の中秋の縁起物であり、民間に広く伝わり深く影響を与えています。研究の結果、兎児爺の出現は遅くとも元の時代であることが判明しています。兎児爺の特殊な習わしのため、兎児爺を隔年で保留することが難しく、現存する最古の兎児爺は故宮の中に保存されており、「富貴花開(富貴の花が咲く)」と呼ばれています。

中秋節にはどの家庭でも家族団らんで月を鑑賞します。秋に採れる穀物が登場し、果物の香りが漂う頃、春節と並ぶほどの盛大な祝祭に民間の縁起物である兎児爺の飾りは欠かせません。中秋節が訪れるたび街中には続々と兎児爺の屋台が現れます。大小様々なの兎爺は棚の上に山のように並べられています。白地に赤みを帯びた桃、グースイエローの鴨梨、朱玉のようなブドウ、青緑の柿、蓮の花びらのように切ったスイカなどの果物が屋台に並べられると、様々な色が入り乱れ格別の風景となります。まさに「撇眼壹看佳節近,滿城爭擺兔爺山(節句が近づくのを感じると、街中がこぞって兎児爺を並べ始める)」と言うようなにぎやかな風景です。

泥彩色の兎児爺は、成り立つまでにとても長い歴史があります。作られた理由として昔は医療条件が整っておらず、病気の治療に困難があったことから、民間の間で縁起物である泥色彩の兎児爺が現れました。

兎児爺制作の技術は大変熟練されていて、作品の左右の対象とバランスを追求し、そのきめ細かい彩色には高い技術が必要となります。三分塑七分彩(形作り3分彩色7分)と言う言葉があり、色彩の対比は強烈で質素で濃厚です。作業は完全に職人の手作業で行われ、搓(こすり)、揉(もみ)、挑(ほじり)、捏(はさみ)、印(跡を残す)、拍(たたき)、剪(裁ち)、色(塗りつけ)、貼(はり)、插(挿し)などの一般的な手法があります。原料はモルタルで、晒(天日干し)、冷(冷まし)、砸(砕き)、揉(もみ)、淋(濡らし)等の工程があります。色には中国特有の国画色、広告色(水粉)、品色(鉱物色)等があります。

兎児爺は北京の中秋節の独特な重要なシンボルの一つで、民間において数百年の中秋文化を盛り上げました。中秋節に欠かせない重要な一部分となっています。

兎児爺についてのいくつかの民俗的知識:

1.兎児爺の性別問題:中国には男女の間で直接に触れてはいけないと言う伝統的な倫理的慣習があり、その深い影響から嫦娥(月の女神)が胸に抱いているのは異性の兎ではなく女兎だとされ、過去に男が兎児爺を祭る伝統的習慣はありませんでした。この二点の観点から北京兎児爺の性別は女兎だと考えられます。

2. 兎児爺が女の身であるのに、なぜ兎児爺は兎児婆と呼ばれないのでしょうか?過去には独身で跡継ぎのいない名声と人望のある女性には男性と同じ呼び名を使いました。北京の古い習慣に甥の子が年上の未婚の女性を爹(diē父)または爸(bà父)と呼び、男性の呼び名を女性に使います。北京に於いて兎児爺の影響力は大変に大きいため、後の人々は兎児爺に官称(肩書き)をつけ兎児爺と呼ぶようになりました。

3.兎児爺が背中にしょっている背旗は何枚でしょう?兎児爺の背中には一枚の背旗しかありません。老北京に「兔儿爷的靠背旗——单挑(兎児爺の背旗は-一騎打ち)」と言う洒落があります。

4.北京兎児爺の背旗の由来:伝説によると兎児爺は山寺の山門の外、旗竿の下で発見されました。民間の職人はこの伝説を基に兎爺を形作る時に兎爺の後ろに旗を立てました。これにより後代の人々は兎児爺の出生を知るのです。

5.北京兎児爺の乗り物について

北京兎児爺は基本的に民間に伝わる瑞獣の上に乗っています。当時の礼儀制度から北京兎児爺は龍の上に乗ることはできません。伝説の瑞獣にはライオン、象、麒麟、虎、鹿があり、さらに縁起物として瓢箪、桃、蓮の花、牡丹等があります。

北京兎児爺の乗り物の伝説

一、麒麟に乗る:麒麟には資産が増え商売繁盛、富を促し、魔除け、家庭運の向上、厄除けの意味があります。麒麟は縁起が良いものの代表です。

二、ライオンに乗る:万事意のままにの意をもちます。

三、桃に乗る:長寿の意をもちます。

四、瓢箪に乗る:福禄の意をもちます。

五、象に乗る: 壮大で変化に富んだ情景や物の意をもちます。

六、鹿に乗る:多くの俸禄の意

七、蓮に乗る:蓮の花が持つ清らかさと上品さ、清浄と超然さの象徴の意をもちます。真の清浄は身体ではなく、心にあるということです。

八、山に乗る:これは北京城の中で最も典型な北京兎児爺で、全ての兎児爺はここから進化していきました。この兎児爺は兎児爺の至尊です。

九、虎に乗る:守りの神獣、厄払いの意をもちます。

十、牡丹に乗る:金持ちになる、富の花が咲くの意をもちます。

見学体験:北京市双起翔泥彩塑工作室

電話:  18612520169

地下鉄でのアクセス:13号線龍澤苑駅下車、道路の反対側の路線バス昌58路乗車、横橋村東で下車西方向に300メートル、北方向に北京平安盛達汽車維修有限公司が見えると到着します。

住所:北京市昌平区百葛路133号院

文・北京旅行網

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