中国、土司の遺跡群を世界遺産に申請 

2015-07-01

第39回世界遺産委員会が28日、ドイツのボンで始まった。同委員会では、自然遺産や文化遺産の推薦物件の審議のほか、既存の世界遺産リスト登録物件の保全状況についても話し合われる。今回は38の推薦物件があり、中国からは、湖南省永順老司城遺跡、湖北唐崖土司城遺跡、貴州海龍屯遺跡から成る「土司(どし)の遺跡群」が推薦されている。新華社が報じた。

湖南永順老司城遺跡は、中国国内で最大規模、最古の土司城遺跡で、保存状態も最も良い。

業界関係者によると、7月3日ごろに、土司の遺跡群の新規登録が、投票によって決められる。新規登録が実現する見込みが高いという。

土司制度とは?

中国社会科学院考古研究所の所長を務める、中国考古学会の王巍・理事長によると、土司制度とは、元代(1271-1368年)以降、中国の中央王朝が、北西や南西の境界に接する諸民族を統治する方法で、現地の官僚が先祖伝来の所領において世襲でポストに着くことを認める制度だ。各地は中央王朝に貢物を納め、その権威を認めれば、自分達の軍隊や統治をそのまま残すことができた。

中国社会科学院の学部委員、歴史学部の主任を務める劉慶柱氏は、「明から清にかけては、科挙官僚である流官を派遣して統治する地域に改める『改土帰流』策もとられた。土司制度は、他民族を抱える中国の統一を図る重要な制度」と説明している。

土司を推薦するのはなぜか?

王理事長によると、土司をめぐる考古学研究が近年注目を浴びており、数々の発見が、考古学界の重要フォラームで紹介されたり、中国の10大考古学新発見に選ばれたりしている。土司遺跡の多くは、地上にあるため、保護を実施しなければ、都市発展が進むにつれ、存在が脅かされるようになる。また、土司遺跡の多くは、山の上にあり、残っている当時の土司城や防御施設、関連の墓地などは鑑賞の価値がある。

劉氏も、「この種の歴史的文化遺産は、歴史の記憶をよみがえらせてくれる。多民族地域では、衝突も頻繁に起きる。異なる民族が平和に共存する点で、土司制度は手本とする価値がある」との見方を示している。

他国と共同で推薦することがあるのはなぜ?

世界遺産委員会は、一度に推薦できるのは一カ国2件まで、そのうち1件は自然遺産でなければならないと規定している。つまり、最も多くて、自然遺産と文化遺産1件ずつしか推薦できない。

昨年、中国は、文化遺産として「大運河」を推薦したほか、カザフスタン、キルギスと共に「シルクロード」も推薦した。劉氏によると、「シルクロード」は、カザフスタンが筆頭となり推薦された。「中国には、数多くの文化遺産があり、他の国と共同で推薦すると、同じ項目の物件を1度に複数推薦できるというメリットがある。でなければ、土司遺跡の申請が成功しても、他の遺跡は十数年推薦できなくなってしまうという可能性もある」と劉氏。

「人民網日本語版」

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