西太后が愛した「豌豆黄」とは?

2014-04-22

「豌豆黄」(ワンドウホアン)とは、春から夏にかけて北京でよく見かける季節のデザートのことだ。主材料はその名にある通りエンドウ豆で、もともとは一般庶民のおやつだったものだが、後に宮廷でも食されるようになった。

伝えられるところによると、西太后が北京・北海にある静心斎という宮殿の書斎で涼んでいると、突然街の方からドラの音と共に大きな叫び声が聞こえてきた。「何事か」と尋ねると、お付きの宦官が「あれは豌豆黄売りの呼び込みです」と報告した。西太后は喜んで、直ちにその豌豆黄売りを宮廷に連れてこさせた。売り子は西太后に豌豆黄を献上し、それを味わった西太后はその味に深く感動する。そしてその売り子を専門職人として宮中に留めることにしたという。こうして豌豆黄は庶民の食品から宮廷料理へと昇格したのであった。

豌豆黄の基本的な作り方はこうだ。エンドウ豆の皮を取り除いてすり潰し、柔らかくなるまで煮こむ。その後、砂糖を加えてペースト状になるまでさらに煮詰め、そして冷ましてから、それが固まったら食べやすい大きさに切れば出来上がり。伝統的な作り方では、ナツメの実を飾り付ける。

北京では、旧暦3月3日に豌豆黄を食べる習慣がある。そのため毎年春になると豌豆黄が店頭に並び、春の到来を告げる役割を果たしている。北京で豌豆黄と呼ばれるものには、いわゆる宮廷小吃と、ちまたで売られている素朴なものの2種類あるが、材料、製造方法、そして価格は天と地ほどの差がある。

宮廷小吃としての豌豆黄は、上質の白エンドウ豆のみを選び、それを柔らかくなるまでとろ火でじっくり煮込んだ後、砂糖とキンモクセイを加える。その後冷まして適当な大きさに切り、その1つ1つにサンザシのゼリーをのせ、きれいな箱に入れる。淡い黄色とサンザシの赤のコントラスが美しく、滑らかな口当たりとすっきりした甘さが特徴の、まさに贈り物にぴったりの極上スイーツだ。それに対し、街中で呼び売りされている豌豆黄は一般の子供たちが手軽に買って味わえるおやつになる。売り子は“砂鼓子”と呼ばれる厚手の土鍋でエンドウ豆を煮込み、ナツメを加えた後冷ます。固まったら鍋をたたいて取り出し、適当な大きさに切って売る。これもまたナツメの自然な甘さが組み合わさっておいしくいただける。こちらの豌豆黄は宮廷料理になる以前からの庶民的で素朴な味わいになっている。

北京の人たちが小吃に求めるものは、単に味だけではなく、その風味や出来栄えを楽しむことにある。おいしい小吃を食べて腹を満たしつつ、同時にその風味や美しさをゆっくりと鑑賞するのだ。豌豆黄はまさにこのような北京の人々の好む小吃なのである。

Insight chinaより

北京旅游网

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