中国詩勉強、岑参・「送人還京(人の京に還るを送る)」

2018-06-01

作者、岑参(しんじん・しんしん・しんさん)は盛唐の詩人。30歳で進士に及第しますが、当時の玄宗皇帝の西域方面への出兵策の影響でしょう、34歳の時に安西都護府(新疆ウイグル自治区トルファン)に赴任します。前回は、その安西都護府に向かう途中、反対に都「京」に向かう人に会った時の詩を紹介しました。今回は、安西都護府に着いたあと、都へ帰る人を見送った時の詩です。詩の始まりの言葉「匹馬」は一匹の馬のことです。単独で敵陣に切り込むという意味の「匹馬単槍」 という四文字熟語もあります。岑参の一人辺境の地に乗り込んでいった気持ちも表しているのかもしれません。都へ帰る人は、この安西都護府よりも更に西からここへきたようです。その地のことを「天外」、天の果てと表現しています。ここでいう「9月」は旧暦ですから、今の暦なら10月にあたり晩秋です。「交河の北」の「交河」は、トルファンの西にある川ですが、ここでは河そのものでなく川に囲まれた断崖の上にある交河故城のことで、まさに安西都護府のあった場所です。砂漠のこのあたりでは晩秋には雪が降るのでしょう。一日の寒暖の差だけでなく、1年の寒暖の差も大きいのです。「雪裏」の「裏」は、裏側ではなく内側、中という意味です。辺境の詩を得意とする岑参の作品を3作続けて紹介してきましたが、度々涙で衣を濡らしているなぁという印象です。実際涙を流していたかどうかはわかりませんが、今以上に辺境の地と都の生活ではあらゆる面で格差が大きかったということでしょう。

「中華網日本語版」より

中華網日本語版

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