琴碁書画の四芸、まずは「琴編」から

2017-11-09

古代中国では、琴は位が高い楽器で、多くの古代の文人や徳のある人は琴に堪能なことで知られています。有名な思想家・孔子も琴の名手とされています。琴は哲学的な芸術、また芸術的な哲学とも呼ばれます。

▲文武七弦琴

琴はその構造からみても奥深い東洋思想を含んでいます。例えば、琴の長さは3尺6寸5分で、365日を表しています。琴のアーチ形の表部分は空を表し、四角い台は大地を象徴し、中国古代の「天円地方(天が丸く、大地が四角)」という理念に合致します。また、琴の13個の徴は一年の12カ月と閏月を示しています。

もともと、琴には五つの弦があり、それぞれ木、火、土、金、水という五行を象徴していました。その後、周の文王は亡くなった息子・伯邑考を偲ぶため、弦の上に一弦増やし、更に周の武王は殷の最後の天子・紂王を討伐する時、士気を鼓舞するため、弦をもう一本増やしました。ここから、琴は文武七弦琴とも呼ばれるようになりました。

▲自然と調和する楽器

琴は中国の最も古い弦楽器として、古来より、その奥深い文化の趣から文人たちに親しまれています。琴の素朴で低く穏やかな音色は、聞く人を素朴で平和な音楽世界へ誘い、静かで豊かな心の世界に引きつけ、天と地の万物や自然と調和が取れた精神を感じさせます。

また、そんな琴は中華民族の数千年にわたる栄枯盛衰の変遷に伴い、多くの伝説が残されてきました。例えば、今から2000年前の春秋戦国時代、晋の国の大臣・兪伯牙と楚の国の木こり・鍾子期が琴で縁を結び、音楽を通して知己になり、二人は心を許しあえる無二の親友となります。また、三国時代、諸葛孔明は兵を空にした城内で敵の十万の大軍を迎えると、城門を開け、自ら城楼で琴を奏でました。彼の穏やかな琴の音色を聞いた敵軍の司馬懿は、深い計略が隠されていると思い、急いでその十万人の軍隊を率いて退却しました。

▲古代の名琴

琴の長い歴史にはいくつかの有名な琴の名前が歴史に記されています。その中で最も有名なのは春秋戦国時代の兪伯牙の「号鐘」と楚庄王の「繞梁」、漢の時代の司馬相如の「緑綺」と蔡邕の「焦尾」という四つの名琴が挙げられます。この四大名琴はすでに歴史の中のものですが、琴の運命と物語は後世の人々に広く伝えられています。

四大名琴はその主人が異なるため、運命も様々です。「号鐘」は春秋戦国時代の名琴で、晋の国の大臣・兪伯牙に奏でられ、琴の音は兪伯牙に知己・鐘子期を出会わせました。また、春秋戦国時代のもう一つの名琴「繞梁」は楚庄王が手に入れた後、毎日、その美しい音色に溺れて朝廷の政務を怠るようになってしまったため、最後には、楚庄王は名琴を破りしぶしぶ手放しました。また、最もロマンチックな名琴はやはり漢の時代の「緑綺」で、有名な才子・司馬相如は「緑綺」の美しい音色で好きな女性・卓文君の心を虜にしました。これは琴にまつわる古代の美談となりました。そして、最も幸運な名琴は「焦尾」です。その主人・蔡邕はある時、一本の桐の木が焼かれているのを見ると、すぐさまにその桐の木を火の中から救い出し、更に琴として命を与えました。

「中国国際放送局」より

中国国際放送局

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