中国の文房四宝

2012-08-01

中国書道は4千年以上の歴史があると言われ、人が言葉を話し始めてすぐに書道が現れたといわれる。黄帝の時代(2650 B.C.)に蒼頡が鳥の足跡を元に文字を作ったとされるが、それは神話伝説であり実証されていない。最古の漢字の確実なのは、商(殷)時代(1766B.C.-1122B.C.)の甲骨文字である。

秦時代に始皇帝は中央集権制を徹底させる為、それまで各地域で独自に発展していた文字を統一する政策を行う。紀元前220年、官吏の李斯はその命を受けて籀文を簡略化した小篆を作った。漢時代(206B.C.-A.D.220)には隷書(れいしょ)が現れ、この時代に確立された書道は、現在の書道美術に最も影響を与えている。

中国書道の道具は基本的に筆、墨、紙、硯からなっており、書斎に必要不可欠な4つの物であったことから「文房四宝」と呼ばれている。「文房」という言葉は南北朝時代(420-589)に始まり、筆、墨、紙、硯の他、筆立てや印肉、印鑑、ハサミなど様々なものが含まれる。

毛筆は中国特有のもので最も重要な文具であった。毛筆は古代の人々にとって、欠かすことのできない文房具であったほか、中国書道や絵画などでは一風変わった表現を持つ。筆先には動物の毛や鳥の羽が、柄には竹や木、象牙や金などが使われる。しかしながら、古代の毛筆は傷みやすく保存が難しいため、現代に残るものはほとんど見つかっていない。

最古の毛筆は、およそ2千年も前に誕生したと考えられているが、その頃の毛筆そのものの発見には至っていない。現在発見されている最古の毛筆は湖北省随州市で発見された春秋時代(771-473B.C.)のものである。以後、湖南省や甘粛省、内モンゴル自治区などでも古代の筆が見つかっている。

消耗品である墨は長い月日を経て現在にも存在し、とても貴重なものである。人工の墨が発明される以前、天然墨と半天然墨があった。人工墨は油煙や松煙から採取した煤(スス)を膠(ゼラチン質)で練り固めて作られる。墨の形は長方形、円形、楕円形など多種多様で、漢時代は墨丸と呼ばれる円形墨が使用された。墨を硯で磨る工程は書道家にとって非常に重要で、それぞれ好みの墨液を得るために独自の方法を研究している。商周の甲骨文や竹木簡牘などから墨跡が確認されており、その時代にすでに墨が使用されていたことがわかっている。

紙は中国の古代4大発明の一つである。これまで紙は東漢に蔡倫が発明したと言われていたが、近年これに疑問の声が上がってきた。シルクロード付近で西漢時代の遺跡や古墳が見つかり、そこから紙と見られるものが出土したのだ。また、それらの紙からは墨跡も見つかっている。

硯は古代の人々に“文房四宝之手”と呼ばれていた。硯には陶器、金属、漆、磁で作られたものなどもあるが、石の硯が最も一般的であり石の種類も様々である。石の採取される地域には必ず石工があり、硯は中国各地で生産されている。

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