中国の結婚文化

2012-08-17

喜神

「喜神」とは吉祥の神である。吉を招き凶を避け、喜びや楽しみを追求したいという人々の願いから「喜神」がつくり上げられた。言い伝えによると、「喜神」はもともと北斗七星の神を拝む一人の敬虔な女性であった。仙人になる修行をしていたその女性に対して、北斗七星の神は「何が欲しいのか」と尋ねた。その女性は手を口元にあて、笑って答えなかった。北斗七星の神は彼女が欲しいものはひげだと誤解し、長いひげを授けた。そして彼女を「喜神」に封じた。長いひげがあるため、普通の人には彼女の姿が見えなくなり、ここから、喜びを司る「喜神」は姿を見せない神となった。

「喜神」の最大の特徴は具体的なイメージがないことである。専門の廟もなく、非常に抽象的な存在である。しかし後世の人の中には、祖先の絵や殷の紂王を「喜神」として祭る人もいる。「喜神」を祭る儀式は各種の儀礼の中でよく行われる。特に婚礼に多い。「喜神」を迎える時は、暦の中から「喜神」の方位を調べる。

紅蓋頭

「紅蓋頭」(花嫁が頭にかぶる赤い布)は中国の婚礼で非常によく見かける。特に昔の嫁入りの際には、花嫁は花嫁衣裳を身にまとい、花轎に乗るだけでなく、頭から赤い大きな布をかぶり、新婚夫婦の部屋に入るまで顔を覆い隠さなければならなかった。この風習に関する言い伝えはたくさんある。「喜神」の紂王から花嫁を守るためであるとか、紂王が叔父の文重の悪妻に懲罰を与えるためであるとか、桃花女が嫁入りの時に周公から身を隠すためであるとか。一般的には、この風習によって吉を招き凶を避け、花嫁を無事に嫁入りさせるためであると考えられている。

昔は4~5尺平方の赤い絹で作られ、四隅に銅銭などの飾りが縫い合わされていた。花嫁は花轎に乗る前に「紅蓋頭」をかぶり、顔全体を覆った。天地の神への礼拝を済ませ、新婚夫婦の部屋に入ると、新郎が竿を使ってそれを取り除き、花嫁の顔はようやく露にされた。

月下老人

「月下老人」は民間伝承の中で婚姻を司る「紅喜神」と言われており、「月老」とも呼ばれる。つまり縁結びの神である。「月下老人」にまつわる伝説は多い。よく知られているのは唐代の李復言の小説『続幽怪録•定婚店』。「月下老人」が韋固という人の縁を結んだ話である。

「月下老人」のイメージは清代の沈三白が『浮生六記』の中で、「片手に赤いリボンを持ち、片手に婚姻簿をかけた杖をつき、白髪童顔、霞も霧もない中を疾走する」と記述している。中国の多くの地域に「月老」の祠があり、幸せな縁談を求めてたくさんの人々が訪れる。杭州市西湖白雲庵の右側にある「月老閣」には、有名な対聯が掛かっている。これは「月老」の願いを書き表したものであると同時に、人々の願いでもある。「この世のどこかには思い人がいて、必ず結ばれる。これは前世で定められたことである。縁を逃してはいけない」

「喜」の字

「喜」の字の初文は、鼓の形に笑っている口の形を加えたものであり、喜び事の儀式を示した。その後、両手で「吉」の字を捧げ、下に笑っている口の形を加えて出来上がった。昔も今も、「喜」の字は楽しい気持ちを表現する時に使われる。中国人は「喜」の字を人生におけるすべての吉祥や喜びを象徴するものとして用い、五福(福・禄・寿・喜・財)の一つとした。「喜」の字には「禧」と「囍」という2つの記号がある。「禧」は春節などの祝い事でよく使われ、すべてが思い通りにいくようにという意味がある。「囍」は「双喜」とも呼ばれ、結婚の際によく使われる。結婚が吉祥如意であるということを表している。

撒帳喜歌

「撒帳」は中国の伝統的な結婚の風習の重要な一部である。新婚夫婦が二人の部屋に入ったら、花生(落花生)、棗子(ナツメ)、桂円(リュウガン)、栗子(クリ)などをベッドに撒く。これには「早(棗子)生(花生)貴(桂円)子(栗子)」(早く子宝に恵まれますように)の意味が込められており、新郎新婦の幸せな結婚生活や多子多福を願う。

「撒帳歌」は「撒帳」の儀式で歌われる喜びの歌や文句である。ほとんどが吉祥祝福の言葉で、その内容は実に多彩であり、「撒帳」の儀式と互いに補完し合う。婚礼の司会者は「撒帳歌」を歌いながら「撒帳」の儀式を進行する。そこに来客たちのにぎやかな笑い声が加わり、喜びに満ち溢れた光景が作り出される。「撒帳歌」は唐代に原形が生じたと言われている。今なお多くの地域で歌われ、婚礼に色彩を添えている。

喜娘

「喜娘」は昔の婚礼では欠かすことができない役目を担っていた。北京では「迎親太太」「送親太太」と呼ばれ、浙江省では「喜阿媽」と呼ばれる。婚姻は不吉な人や物事を嫌うため、「喜娘」には運気のよい女性が選ばれる。配偶者や子ども、兄弟姉妹に恵まれているだけでなく、舅姑や孫もいて、四世同堂(四世代が一緒に暮らす)であることが好ましいとされる。このような「喜娘」が参加した婚礼は、新郎新婦が必ず幸せになり、思い通りに事が進むと考えられている。「喜娘」の任務は花嫁に付き添い、面倒を見ることである。花轎のすだれを上げたり、花嫁に手を貸したりするほか、婚礼の最中に喜びの歌を歌ったりするのも「喜娘」の仕事である。「喜娘」は婚礼を滞りなく進行させ、ムードを盛り上げる重要な役目を担っているのである。

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