胡同や四合院、大雑院

2012-09-27

北京の伝統的な住宅は、四合院という、庭を囲むようにして東西南北の四面に部屋が対称に並び、一カ所しかない門を閉じれば遮断される構造の建物である。千年前の遼の時代から基本的な構造が形成され、元・明・清の時代に最も盛んになったと言われる。その建築様式は左右対称が基本で、社会的地位によって軒の高さ、広さが細かく制限されていた。高官や富豪の四合院は広々とし、柱や外廊下、軒に絵や彫刻が施されていたが、庶民が住んでいた四合院は構造が単純で、門は狭く軒も低いものだった。

ぎっしり立ち並んでいる四合院の間にできた大小さまざまな通路は胡同と呼ばれ、北京の代表的な街道である。明・清時代は、数千本の胡同が故宮の周囲に張り巡らされ、市街地の面積の三分の一を占めていた。

もともとは1戸の四合院には1世帯が住んでいたが、1950 年代からは人口の急速な増加によって、数世帯が雑居するようになった。それぞれの世帯が庭の共用スペースに台所や部屋を増築した結果、1人あたりの居住スペースは狭く、院内は混雑し、大雑院と呼ばれるようになった。大雑院では、トラブルもあるけれど、一つの家族のようにお互いに助け合う近所関係、人々の暖かさを感じられる「胡同文化」が形成された。

近年、北京は国際都市に向けた再開発に伴い、胡同や四合院、大雑院は、次々と取り壊され、現代的なビル群に建て替えられ、だんだん少なくなってしまった。胡同で育った人々はマンションやアパートに引っ越し、快適な住まいを楽しむ一方、距離感のある人間関係になかなか慣れないようである。

北京の歴史と人々の生活の移り変わりをしっかり記録しつづけるために、ずらりと並ぶ現代の高層ビルの裏には、胡同が昔の状態で残されている。人力三輪車で胡同を走り、四合院の民家を訪問し、古跡を見学する、古い北京を身近に感じられる観光コースは、外国からの観光客の間でとても人気がある。機会があれば、ぜひ北京の胡同を巡り回ってみてください。きっと違う北京を感じられると思う。

北京旅游网

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