燕莎地区は燕莎橋のたもとに建つ燕沙友誼商城と凱賓斯基(ケンピンスキー)飯店を中心に、希爾頓(ヒルトン)や長城(シェラトン)、昆侖飯店など星の多い大きなホテルが集まる地域。外国人駐在員向けのマンションも多い。また三環路を渡って西に進むとそこは大使館街で、外交官のための施設もある。このため人口比率では外国人が多く、路上ですれ違う人々も、白人、黒人、黄色人種とさまざまだ。北京でありながら、一風変わった独特の雰囲気を生み出している。
凱賓斯基飯店、燕莎友誼商城とも、ルフトハンザ航空を母体とするドイツ系の経営。凱賓斯基飯店は北京一とも言われるほど豪華でサービスも行き届いたホテルだし、燕莎友誼商城は建国門外にある国営の友誼商店よりも取り扱う商品がおしゃれで、かつ質も高い。しかしその分価格も北京一との評判で、一般の市内価格を大きく越えてしまっている。その影響か、燕莎付近のすべての物価も高めに落ち着いてしまっている感もあるのだ。ただし質の良さと品揃えを考えると、それもまたしかたないのかも、と納得させられないでもない。こればかりは各自の経済状況を考慮するしかないのだろうが。
交通の便からいえば市内中心地から遠く離れていることもあり、また取りたてて見るものもないので、観光客が訪れたい場所ではない。しかし上記外国人向けに作られたスーパーや雑貨品店なども数多く、取り扱っている商品も、北京の一般の商店では手に入りにくいもの、たとえば柔らかくてしっとりしたパンだとか、センスのいい雑貨や日用品などを揃えている。生活する上ではこの上なく便利なところなのだ。
結婚記念日など、ハレの日におしゃれして出かけたくなるようなレストランも多い。イタリア、フランス、ドイツなど欧米の料理店も揃っていて、きっと思い出に残る一日が過ごせるはずだ。これら各国の料理は、それぞれの国から来た人向けに作られているものなので、味も本格的なところが多い。日本で食べるそれぞれの料理よりも、味が強烈に主張しているのだ。
前述のようにホテルが多いため、日本からのツアーでもこの付近に宿泊するパッケージが多く組まれている。ただ交通の便はあまりよくないので、選べるものなら王府井付近、少なくとも地下鉄駅に近い地域を選んだほうがいいだろう。やはり燕莎は長期滞在型の街なのである。
アクセス:バス停亮馬橋(300、302、402、405、825、特3路)、小亮馬橋(402、413)下車すぐ