600年の歴史ある前門大街

2012-10-18

前門大街には、そのシンボル的建築物である「五間、六柱、五楼」の五牌楼が高く聳え立っており、石敷きの歩行街はたいへんな人混みで、昔なつかしの「ちんちん電車」がその中を通り過ぎてゆく。

1年あまりの改修工事を経て、2008年8月7日、古い北京のシンボル的老舗街である前門大街が正式に対外開放され、1920~30年代の歴史的風貌で世界中の観光客を迎えている。

2008年4月15日、北京市文化クリエイティブ産業指導グループは11の文化クリエイティブ産業集中区を公表し、前門伝統文化産業集中区はその中でも歴史が最も古い文化産業集中区となった。北京市の専門家•学者は「前門伝統文化産業集区」の文化クリエイティブにおける位置づけを論証したとき、ここには千年の古都の文化的内容を代表する老舗や伝統的な町並みなど、伝統産業のグレードアップした姿があり、北京市文化クリエイティブ産業集中区の広告、展示、出版発行、文芸演出、文化観光などの分野での空白を埋めることができると考えた。

歴史文化を尊重し古都の風貌を復活させる

前門は北京市東城区に位置し、古い北京の都市風貌、史跡文物の保存が最も完璧な地区の一つだ。特に明•清代以降、北京の建築文化、商業文化、会館文化、民俗文化、伝統演劇文化が最も発達した繁華な特色ある地区で、生きた北京民俗風物博物館である。月盛斎、大北写真館、全聚徳、中国書店、祥聚公菓子店、盛錫福などの老舗がここに集まっていて、1960~70年代が、前門大街の最盛期であった。

長い歳月を経て前門大街の疲弊が目に見えて現れるようになった。1958年に増•改築された前門大街は40年あまりの風雨を経て、道路の破損がひどくなり、交通のみならず商業街の経営にも影響を与えるようになった。ここのインフラ設備は立ち遅れ、明•清代の煉瓦で作った下水道がいまだ使われている箇所もあり、前門大街やその附近の補修工事は当面の急務となっていた。

前門大街の改造は北京市でも規模が最大の旧市街区改造プロジェクトであり、その中心は前門大街と東側の道路以西の地区で、計画敷地面積22万4000平方メートル、計画建築面積40万2000平方メートルである。改修後の前門大街は歩行商業街に改造され、隣接する南北方向の4本の道と東西方向の22本の胡同によって5つの大きい機能区を構成する。それは、歩行商業街である前門大街と、その東側の中華老舗伝統商業と観光商品地区、そして高級ホテル地区、四合院体験地区、娯楽レジャー地区の5つである。それぞれの特色をもつ機能区域では、伝統的商業•歴史文化の集中を特色とし、地域全体の歴史と現代、伝統とファッションの融合を体現しており、北京の文化的•国際的都市としての位置を明確に示している。

「ちんちん電車」の復活

1924年12月に初めて前門大街を走った「ちんちん電車」は、その42年後の1966年5月、歴史の舞台から去った。それからちょうど42年後の今日、「ちんちん電車」が前門に復活した。この2つの「42年」は偶然の一致というよりは、歴史の特別なはからいであろう。

今走っている2台の「ちんちん電車」は、1924年に北京で最も早く導入された古い型で、1952年中国が独自で研究製造した「旧52型」を参照し製造され、前と後の両側に運転台がある。2台の「ちんちん電車」が改修後の前門大街の道路の両側を向かい合って走っている。時速6~8kmで、84の座席がある。新式の「ちんちん電車」はスーパーコンデンサーを採用しているため、終点に着いてから1~2分で充電が完成し、電柱は不要で、町並みをすっきりと保っている。

12軒の老舗で賑わう

新たになった前門大街が公開されると、それを体験しようと多くの人がやってきた。朝7時、門を開けたばかりの「都一処」シュウマイ店に長い列ができた。8時からの営業開始なのに、気の早い人がすでにメニューを手にもち、料理を頼んでいる。新しい店は約40人ほどで満員になるため、列を作って並ぶ客の手には整理番号札が握り締められている。午前10時には、門前には百人ちかくが列をなし、朝ごはんがいつの間にか昼ごはんになったという感じである。「一条竜」羊肉館の門前にも人が群がり、辮髪のカツラをかぶり、昔風の服を着た店員が、しばらくしてからまた来るようにと叫んでいる。早朝なので、改装で一新した北京ダックの老舗「全聚徳」はまだ開店していないが、すでにその門前は人で賑わっている。みんなガラス窓から新しくなった「全聚徳」の店内を覗き込んでいるのだ。

前門大街が修復された後、開業した12軒の老舗のほかに、すでに80軒あまりの店がリース契約書にサインしており、それは商業街のリース総面積の75%を占めている。多くの世界的有名ブランドが前門大街に進出する予定で、そして前門大街の全体の景観にあわせてデザインされる。今後前門大街に進出を予定している民族ブランド(香港•マカオ•台湾を含む)と国際ブランドに対して、管理部門は市場化運営メカニズムに基づき、街全体の商業的配置、消費特徴などによって、商業の繁栄、街の機能向上に有利となるという原則で企業誘致を行っている。

横並び商業経営からの脱出

ここ数年、北京に新興商業ゾーンが次々と生まれるにしたがい、前門大街は徐々に中心的な商業ゾーンから遠ざかっている。今回の前門大街大改造は、前門大街の最盛期の繁栄を取り戻そうとする試みである。ところが、中国の商業街の開発はいまだかつてないピーク期を迎えている。新しい前門大街は、昔の繁栄を復活させられるか、どこも同じような町並みになるという、「同質化競争」を避けられるかどうかという、大きな試練に直面している。この問題に対して、東城区の李暁光党委員会書記は、このように報道陣に未来の前門商業歩行街の姿を描写した。「前門大街は建築のうえでは伝統を継承しましたが、商業形態においては中国と西洋の融合を図っており、中国の伝統的な老舗もあれば、世界的な有名ブランドもあります。」どうやら、新しい前門大街は商業形態において、現代的感覚に富んでいるようだ。

東城区が実施した前門大街の企業誘致計画の中でも、全国各地の民族的特色をもつ商業ブランドと老舗の誘致は、重要な内容だった。前門大街の両側の商業店舗の建築面積は6万6000平方メートルで、有名ブランド180社を誘致し、主に飲食、小売、サービス業の誘致を行う計画だと、北京天街置業発展有限公司の田耘董事長は明らかにした。現在、企業誘致は天街置業発展有限公司とSOHO中国の協力によって行われている。もとの12軒の老舗が全部戻ってくるほか、瑞蚨祥、尚珍閣、呉裕泰、内聯昇、周大福なども加わった。このほかにも、アップル、スターバックス、ロレックス、ナイキなど20社あまりの世界有名ブランドがリース契約書にサインし、前門大街への進出を決めた。

新しい前門大街はどのようにしてこのような短時間で人気を集めたのか?この疑問に対して、天街置業発展有限公司の田耘董事長はこう答えた。「新前門大街はハード施設の機能がハイスピードでレベルアップし、市レベルのショッピングストリートとなる基礎が築かれました。さらに今後の商業展開過程で、この商業区に北京の歴史的な意義が注ぎ込まれ、商業と人文的な事柄が有機的に結合し、両者のバランスを保たれることが、未来の前門大街の持続的発展の原動力となるでしょう。」

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