年の差カップル映画『北京遇上西雅図』

2013-04-02

タン・ウェイが妊婦を熱演

『ラスト、コーション』(2007年、アン・リー監督)で注目を集めたタン・ウェイ主演の『北京遇上西雅図』が3月21日から公開された。この週末は、『ダイハード/ラスト・デイ』『バイオハザードV:リトリビューション』も公開されたが、これらの強敵を向こうに回して、最初の週末だけで7500万元の興行成績を上げトップとなった。『失恋の33日』以来の「小清新」(上品であっさりした文化的なものを好む若者)映画の大ヒットと話題になっている。

トム・ハンクス、メグ・ライアン主演の『めぐり逢えたら』(Sleepless in Seattle)が大好きという文佳佳(タン・ウェイ)は、裕福な不倫相手・老鐘の子どもを出産するためにシアトル(西雅図はシアトルのこと)を訪れ、アルバイトで送迎車の運転をしているさえない中年男性フランク(ウー・シウボー)と出会う。もぐりの出産センターに入所した佳佳は金にものを言わせてわがまま放題、経営者の黄太(エレイン・ジン)や先に来ている周逸(ハイ・チン)らを怒らせる。ところが、中国にいる老鐘は仕事を理由に見舞いにも訪れず、やがて彼の妻によって佳佳のクレジットカードが凍結され、老鐘本人の行方もわからなくなってしまう。窮地に陥った彼女を気遣ってくれたのはフランクと彼の娘のジュリーであった。親しくなるにつれ、彼女はフランクの秘密を知るようになるが……。

主演のタン・ウェイであるが、今回は「小三」(不倫の第三者)で「败金女」(ひどい浪費家の女性)という北京っ子を演じ、これまでになかった面を見せている。冒頭で出会ったばかりのフランクを罵倒する言葉のすさまじいこと、彼女に抱いていた上品なイメージが一気に吹っ飛んでしまう。でも、その後佳佳がフランクたちと触れ合ううちに次第に優しく気遣いのできる本来の姿を取り戻していく変化も見事に演じている。その変化の過程では、女性監督ならではの細やかな演出も光っていた。

今の中国では“おじさん”がモテる!?

一方、相手役の味わいある中年男性を演じているのがウー・シウボーである。1968年生まれで中央戯劇学院卒業、中国では多数のヒットドラマに出演してきた人気俳優である。昨年は『四大名捕』『人山人海』という2作の映画でいずれも個性的な悪役を演じた。現在放送中のテレビドラマ『趙氏孤児案』では主役の程嬰を演じており、最も注目される“中年俳優”の1人と言えるだろう。

この2人が演じるのが26歳と42歳という年の差カップルである。なんでも最近は「大叔控」(おじさんコンプレックス)がブームで、若い女性の間で中年男性が人気なのだとか。同世代の男性より経験が豊富で落ち着いており、包容力があるというのが理由と言われる。日本にも「カレセン」(枯れた男専門)という言葉もあるが、社会が豊かになり成熟してくるに従って中国の女性の好みも多様化しているようだ。そうした風潮をストーリーにうまく取りこんだことが、「小清新」の興味をそそったようである。

シアトルやニューヨークの景色も美しいロマンチックなラブ・コメディーであるが、よく見ると今の社会を反映した背景が使われていることに気づく。実は最近では、中国の富裕層が子どもに米国国籍を取らせようと、わざわざ米国に出向いて出産するケースがあり、そのためのセンターもできているそうだ。女性が出産のためにシアトルまで行くというのは、決して映画の中だけのことではないのである。ただ、彼女の場合は上記とは少し事情が違う。未婚で不倫の子を身ごもった彼女は、国内で出産するのが難しく、出産した場合に子どもの戸籍も問題になることから、シアトルに向かったという設定なのである。

首都電影院は西単の大悦城(ジョイ・シティー)内にあり、2012年に全国第3位となる7700万元の興行収入を記録した人気映画館

【データ】

北京遇上西雅図(Finding Mr.Right)

監督:シュエ・シャオルー(薛暁路)

キャスト:タン・ウェイ(湯唯)、ウー・シウボー(呉秀波)、ハイ・チン(海清)、エレイン・ジン(金燕玲)

時間・ジャンル:123分/愛情・コメディー

公開日:2013年3月21日

首都電影院

所在地:北京市西城区西単北大街大悦ショッピングセンター10階

電話:010-66086662

アクセス:地下鉄1号線・4号線西単駅から徒歩4分、F1出口から北に進み左手のビル

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