天津の「泥人張」、北京の「麺人郎」（しんこ細工）といえば、練り粉で作る人形の有名な作り手のことだ。一昔前の作り手たちは、てんびん棒から箱を下げて村と町を巡り、街角で一瞬にして人形を仕上げてみせ、庶民に喜ばれた。彼らの作るものは、玩具と見られ、高級な場所へあがることはなかったが、今ではそれが芸術性の高い民間工芸品となっている。

練り粉の人形の起こりについて、具体的な年代はすでに考証が不可能だ。最も古い練り粉の人形は、新疆ウイグル自治区のトルファン、アスターナ地区から出土した唐代永徽4年（653年）のもので、粉で作った下女の頭部と、下男の上半身、それにブタになる。それは小麦粉とモチ米粉を主な材料とし、そこに顔料と、パラフィン、ハチミツなどの成分をまぜ、さらに割れないよう、カビがはえないよう処理され、柔らかな色とりどりの粉の塊になった。

練り粉の人形作りは、手に材料をとり、何度もこねたのち、小刀を使って器用に刻み、線を書き、体、手、頭部を形成し、髪飾りや衣服をつけていく。この間に、さまざまな芸術的モチーフが手先から成されていく。たおやかで美しい、スカートを風にはためかせた様々な姿の美女、天真爛漫な子ども、また各種の神話、戯劇、歴史上の人物などを精緻なガラスのケースに納めれば、人々の好む工芸品となる。北京の練り粉の人形は、「中国の彫塑」とも呼ばれる。体積が小さく、携帯に便利で、質のよい作品は保存が長くきき、数十年もカビがはえず、裂けず、退色しない。ゆえに親しい友達への良い記念品となる。

街頭での練り粉の人形作りの実演によく見物客が集まっている。練り粉の人形は、北京の京城百工坊、王府井の工美大厦、王府井の東安市場地下1階にある「老北京一条街」、北京の中心部にある湖、「后海」に近い煙袋斜街、秀水市場などで売られている。大小にもよるが、価格は100元前後になる。「人民中国インターネット版」