緑茶とウィスキーは合う?

2014-12-03

数百年にわたって、スコッチウィスキーは君主や政治家、エンターテイナー、そしてハイクオリティーな生活を追求する人々に愛されてきた。

すべての新しくファッショナブルな事物と同じように、スコッチウィスキーは今中国で大いに浸透しつつあり、中国人は実に中国らしいひねりを効かせた飲み方を編み出した。上海や北京のトレンディーなバーやカラオケルーム、クラブでは、集まってお祭り騒ぎをする人々の間で「革命」が進行中だ。

グラスいっぱいに氷を入れ、そこにウィスキーを注ぎ、最後に緑茶で割るのだ。中国の新世代中産階級ホワイトカラーは安酒を飲まない。彼らが茶で割るのはシーバス・リーガル、ジョニー・ウォーカー黒ラベル、ティーチャーズといった高級ウィスキー。彼らにとって、価格は個性の追求をあきらめる理由にはならないようだ。

スコッチウィスキー協会のデータによると、中国のウィスキー輸入額は2001年の290万ドルから2010年の8500万ドル余りに増え、同時期の年間消費量も14万2250ケース(750mlボトル12本入りの9リットルケース)から172万ケースに激増した。これによって中国は世界で成長が最も速いウィスキー市場となった。

スコッチウィスキー協会国際業務マネージャーのマーティン・ベル氏は、「中国の消費者がますますスコッチを愛飲するようになったことで、スコッチウィスキーの輸出量はこの10年で非常に大きく成長した」と述べている。ウィスキーを緑茶で割って飲む人が言うには、この組み合わせはそれぞれの持ち味を最もよく引き出すのだという。

何年もウィスキーを愛飲している北京の周立さんは、「この飲み方はいたずらから始まったらしいですよ。ある時、友人が飲む伝統的スコッチの水割りを『台無し』にしてやろうとした人がいたそうです」と話す。いたずらはまったく反対の結果に終わった。この飲み方はたちまち流行し、今では一時の流行りから定番の飲み方になった。

周さんは言う。「中国人はよく流行を真似すると非難される。だから今回は自分たちの流行を創り出したのです。知る限りでは、ウィスキーを緑茶で割って飲むのはまだ中国だけ。しかも大好きなスピリッツを楽しめると同時に緑茶の薬効も得られます」。周さんの言う薬効とは、緑茶が高コレステロールや心血管疾患、伝染病、免疫機能低下といった問題の改善に役立つことを指している。

『米国国立癌研究所会報誌』が1994年に発表した流行病学研究レポートによると、緑茶を飲むことで中国人男性と女性の食道癌発症率は約60%下がった。そんな訳で、今や二日酔いになるほど飲むことにもう一つ特典がついた。これは治療だと思えることだ。「いやいや、酔いたいからこんな飲み方をしているわけではありません。茶葉の渋みとウィスキーのスモーキーな風味を一緒に味わうのが好きなのです。とてもいいリラックス方法ですよ」と周さんは笑う。

伝統的なスコッチウィスキー業者は、彼らの扱う酒が茶葉と一緒にグラスの中に出現する日が来るとは思いもよらなかった。しかし結局のところ、人々が何を選ぶかだ。スコッチウィスキー協会のスポークスマンは、「好みは人それぞれ。スコッチウィスキーの飲み方も多種多様」と評した。これぞまさに中国の特色あるウィスキーの飲み方。中国では、どんなことでも可能だ。そのことに乾杯しよう!

文・フランシスコ・リトル(筆者は北京で働いた経験のある南アフリカ人)

『中国123』日本語版

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