【中国に行ってみよう!】 第六回 長江 三峡クルーズ

2016-06-23

長江の重慶と三峡ダムの間にある3つの峡谷、瞿塘峡、巫峡、西陵峡を、船に宿泊し途中の観光地で下船観光しながらクルーズすることを三峡クルーズといいます。重慶~三峡ダムの下りなら2泊3日または3泊4日、三峡ダム~重慶の上りなら4泊5日のクルーズです。

この三峡クルーズのツアーが、日本で一大ブームとなったのが1993年から1998年ごろ。三峡ダムが建設されることにより、歴史的価値の高い観光地が水没したり、岸辺の町が島になったり、長江とその支流の川幅が広くなるなど歴史的な価値のある長江の景観が大きく変わるというので、当時日本の旅行社は「さよなら三峡」と題して、三峡クルーズのツアーを売りに売りました。

当時の三峡クルーズの見どころと言えば、三国志の遺跡、建設中の三峡ダムが中心だったわけですが、三国志も三峡ダムも全く知らない人たちも、船に宿泊しながら観光できるというクルーズの魅力も加わって、ブームに乗って山ほどやってきました。

当時は、長江の上流である重慶には3000t級の船しか入れなかったため、最大級の船も50室100人乗りがせいぜいで、船の数も限られ、各旅行社は船を取り合い、何隻もチャーターし、それでも部屋が足りないときは、添乗員やガイドのための部屋まで販売してしまうという大変な時代でした。添乗員やガイドには会議室やカラオケルームや甲板で寝ていただいた時代もありました。

どこかの閉店セールと同じで、「さよなら」と言いながら、毎年販売し、三峡ダムの工事の進捗状況によって下船場所の変更はありましたが、何年も売り続け、そのうちお客様にも飽きられてしまったのか、静かにブームの幕を閉じました。

三峡クルーズ船は、今も当時もホテルと同じように4つ星、5つ星などクラス分けされていますが、当時の5つ星船はそれほど豪華なものはなく、部屋もせまく、音がうるさかったり、虫が出たり、大変でした。

今の5つ星船は20年前とは比べものにならないほど豪華になりました。

2003年第二期工事完成以降、水位が上がり重慶に8000t級の船も航行できるようになりました。6階建てエレベーター付きの豪華大型客船。全室バルコニーやバスタブ付きで部屋もまるでホテルのように広い。といったクラスの船が何隻も造船され、残念ながら日本人は見かけなくなりましたが、今も中国国内や欧米や東南アジアからのお客様でにぎわっています。

20年前の大ブームの時代、大学の日本語学科を卒業し、重慶の旅行社に入社した若者は、約5年間、三峡のシーズンはほとんど毎日、日本人のお客様を連れて船に乗っていました。船はいつも満室で、甲板で寝る日もありました。

ある日、お客様から、船内の朝食で食べたザーサイが大変おいしかったので、どこかで買えないかと相談されました。重慶はザーサイの名産地です。この若者は船内でザーサイを販売することを思いつきました。

これが飛ぶように売れました。朝食で試食させ、1袋100円以下。配りもののお土産にはもってこいです。お客様は皆、50個100個と、箱単位で買ってくれました。

そして彼はお金持ちとなり、毎週のように通った三峡クルーズの終点の町で知り合った彼女と結婚し、幸せに暮らしました。

彼は今でも仲間から「ザーサイ王子」と呼ばれています。(渡辺直子)

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【三峡クルーズ 情報】

三峡クルーズは重慶~三峡ダム(宜昌)、上海間を運航し、運行区間は船によって異なります。

所要時間は重慶~三峡ダム(宜昌)間は下り2泊3日または3泊4日、上り4泊5日。

途中下船する観光地も船によって異なります。

主な観光地は、豊都、白帝城、小三峡、神農渓、三峡ダムなどです。

三峡ダムでは、船のエレベーターが体験できます。

【重慶~宜昌 2泊3日 日程(一例)】

1日目

07:00 重慶から出航

14:15-16:45 豊都上陸観光

2日目

06:30 瞿塘峡通過

08:00 巫峡通過

10:15-13:15 小三峡観光または神農渓観光

17:00-20:00 三峡ダム五段水門(船のエレベーター)通過

3日目

09:00-11:30 三峡ダム上陸見学

15:00 宜昌にて下船

【おすすめの船会社】

ニューセンチュリ-クルーズ

アメリカビクトリアクルーズ

リーガルチャイナクルーズ など。

※ 2003年以降就航した船がおすすめです。

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