「逢入京使(京に入る使いに逢う)」岑参

2016-10-26

作者、岑参(しんじん・しんしん・しんさん)は盛唐の詩人。辺境の詩を得意としました。王羲之と並ぶ書家、顔真卿の下で働いたこともありました。上司である顔真卿が今の甘粛省青海省あたりに赴任した翌年、34歳の岑参も安西都護府(新疆ウイグル自治区トルファン)に赴任することになります。前回は、その赴任先に向かう途中、玉門関に滞在した時に作った詩を紹介しました。今日の詩は、作者がその玉門関を出て砂漠地帯を馬で進んでいる時のものです。タイトルの「京」は、都長安のこと。「故園」は、故郷、ふるさとです。「漫漫」はあたり一面、至る所ですから、砂漠を見渡すとあたり一面道が続いている、道しかない、果てしなくと言った感じです。龍鐘は、失意の様子や涙にぬれる様子をいいます。目の前に続く砂漠の風景を見ては、今後の生活を想い涙し、振り返れば今までの故郷での家族との生活を想い涙する。今の時代のようにインターネットで気軽に近況を報告し合える訳ではありません。まして行き先が砂漠のその先となれば、涙が止まらないというのも解ります。先日私が見た玉門関からの景色は、確かに360度遮るものなく砂漠が広がっていました。現代の都会に暮らす私が見ればなんとも雄大で解放感に包まれますが、同じ景色でも時代と境遇が違えば、思いも違いますよね。

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