熱くなる大学内「パシリ経済」 宅配の受取代行など

2016-11-22

人民網日本語版2016年11月22日08:54

ダブル11(11月11日にネット通販イベント)が終わり、大学の中では宅配便の数量が激増し、受け取り代行サービスの需要が倍々成長を遂げている。「使い走り」をいとわない学生たちは、こうした状況の中でビジネスチャンスを見いだした。お湯を運んだり、出前を運んだり、キャンパスに新たに登場した「パシリ経済」が注目を集めている。中国新聞網が伝えた。

▽ダブル11後 大学の宅配スポットに長蛇の列

中国伝媒大学南広学院を卒業したエン弈さん(エンは焉におおざと)は、2012年の夏から、キャンパスで宅配便の受け取り代行サービスを初め、現地のメディアに取材されたこともある。

数年後の今、ダブル11が若い人々の熱狂するショッピングイベントになった。毎年ダブル11が終わると、大学の宅配便スポットは取扱量が限界を超えて業務が回らな

くなる。今年は北京大学、鄭州大学、雲南師範大学、中北大学など各校の宅配ステーション・スポットは、どこも荷物を受け取るための長蛇の列がみられた。

エンさんは、「ある日、宅配便を受け取りに行ったら、たくさんの人が並んでいた。そこで、誰かが荷物を自分の部屋の前まで運んでくれたら、時間も節約できるし、宅配便会社も楽になるし、そこから利益も上がるだろうと考えた」と振り返る。こうしてエンさんは宅配便の受取代行サービスを始め、宅配スポットと学生の部屋の間を行き来するようになった。

▽携帯電話のアプリが事業のプラットフォームに

取材により、「校内達」という名称の携帯電話用アプリケーションが、大学でひそかにブームになっており、学生がキャンパス内「パシリサービス」を募集したり引き受けたりする際のプラットフォームになっていることがわかった。北京地区の大学で最も多く利用され、天津市、江蘇省、湖北省などの一部の大学にも広がる。ここで発信される情報は宅配便の受取代行に関するものが中心で、サービス価格は3~5元(1元は約16.1円)ほどだ。

このアプリを開発した孫文亜さんは、「これまでに10あまりの大学を開拓し、どの大学でもサービスの取扱量が増加している。一日の取扱量が最も多い大学は400件を超え、総取扱量は1千件に迫る。増加率は最高で100%を超えた。取扱量が急に増えたのは大体11月13日からで、ダブル11に注文した荷物がこの日あたりから次々配達されるようになったからだ」と話す。

中国教育後勤協会キャンパス宅配事業委員会、菜烏網楽、阿里研究院が発表した初の「キャンパス宅配事業発展報告」によると、2015年を通じて、大陸部の大学で受け取りが行われた宅配便の荷物は全国の送料の約6%を占め、この市場は少なくとも7万人の直接雇用のチャンスを生み出すことになる」という。エンさんの場合、「宅配便の受取代行で一月あたり2千元から3千元の収入を得ていた」という。

華中師範大学社会学院の金小紅准教授は、「EC、金融の成功モデルが登場すると、多くの大学生が、特に起業を考える大学生が社会に存在する一連のニーズに注目するようになった。学生たちがキャンパスでそれぞれの時間と精力を費やしてこのような試みを行うのは『実行可能』なことだ」と話す。

また金准教授は、「学生がこうしたキャリアと経験を積むことができれば、起業について少なくとも一定の理解を得ることができ、その後、セルフイメージや人生プランをよりよく調整できるようになる」と話す。

▽学生は時間コストを検討 専門家は配置の最適化を指摘

中国伝媒大学の学生・李蓉さんは、「客観的にみて、『パシリ経済』とは需要が決定するものだ。『パシリ経済』は正常なもの」としながら、自分ではやろうと思わないという。

李さんは、「お金より時間の方がより値打ちがある。前にパシリサービスをする同級生と一緒に、宅配便の受取代行の全プロセスを体験してみたところ、走り回って1時間ほども浪費してしまった」という。

金准教授によれば、「パシリ経済はそんなに悪いものではない。これは需給関係の一種のバランスであり需要の産物だからだ」という。

金准教授は、「これまえの伝統的な経済観念の中では、買い手と売り手ははっきりと対立するものだった。『パシリ』サービスはエアビーアンドビー、滴滴出行、優歩などのC2C(一般消費者間取引)スタイルのEC応用サービスと同列に論じられるもの。こうした応用サービスはこれまでの売り手と買い手の区分をうち破り、社会の遊休資源のよりよい配置につながった」と説明する。

また金准教授によれば、「(パシリ経済は)時には『ヒッチハイク』のようなもので、宅配スポットがたまたま近くにあれば、誰かの代わりにちょっと行って荷物を受け取ってきて、適当な対価をもらえばいい。社会資源の最適な組み合わせにつながり、資源の浪費を回避することができ、だれもが売り手にも買い手にもなることができるものだ」と説明する。(編集KS)

「人民網日本語版」

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