中国の四字熟語とその由来・「君子之交 」

2018-06-12

「君子之交(くんしのこう)」。これは、荘子の言葉、「君子之交淡如水、小人之交甘如醴」、君子の交わりは、淡きこと水の如く、小人の交わりは甘きこと、醴の如し。が出典となっています。

君子は徳のある者。その反対語に、徳のない者は、小人と言います。君子の交際は淡々としているために親しみは深くなり、小人の交際は甘くて利を離れないために、最初は甘酒のようですが、やがて途絶えてしまうという意味ですね。

中国語では、「君子之交」という四字熟語以外に、「君子之交淡如水」原文のままで引用されることが多いです。

「君子の交わりは淡きこと水の如し」に関して、こんな故事があります。

唐の初期、薛仁貴(せつじんき)という有名な武将がいました。若い頃は貧しく、妻とボロボロの洞窟に住み、畑仕事を生業としていますが、それでも衣食が足りず、近くに住む王茂生夫妻によく助けてもらいました。

後に、薛仁貴は妻の進めにより、軍に入り、唐太宗と一緒に高句麗に遠征した際、大きな手柄をあげたため、「平遼王」と封ぜられました。

故郷に錦を飾った薛仁貴に、大勢の人が訪ねてきてプレゼントを贈ろうとしていましたが、薛仁貴はそれらをすべて丁寧に断りました。唯一受け取ったのは、昔近所に住んでいた王茂生が送ってきた二缶の「酒」です。

しかし、酒が入っているはずの缶を開けると、中にはなんと酒ではなく、水が入っているのです。薛仁貴は茶碗で掬って、ぐいぐい飲みました。

「以前、貧乏だった私に、王茂生夫妻の助けがなければ、今の私はない。王兄さん、今は貧しいので、酒は贈れないが水を贈ってくれるのは、祝いの気持ちを示すものだ。これこそ、"まさに君子の交わりは淡きこと水の如し"だ」と話しました。

その後も、薛仁貴一家はずっと王茂生一家と緊密な仲を保っていました。

「君子之交」に関する故事でした。水は味がしないのですが、人間に必要なもので、いつまでも飽きないもの。一方で、小人の交際を例えた「醴」は、甘酒です。一回嘗めただけで、甘美なのかもしれませんが、いざ喉が渇くと、甘くてベタベタするので、喉の渇きをいやすことができません。

そもそも真の友情は、常に甘い言葉だとか、ものなどで確かめる必要がありません。友達だから高いものを贈ったり、行動を合わせたりする必要もありません。やはりそれぞれが独立した人として、必要な時に助け合うことが出来ればいいと思いますね。

「中国国際放送局」より

中国国際放送局

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