七月、真夏の北京は色とりどりの花や青々とした草が生い茂ります。セミや蛙などの夏の歌手の爽やかな歌声は人々に暑さを忘れさせ、夏の涼しさを感じさせます。今回はそんな夏の歌手・セミを紹介しましょう。
命を燃やす歌手
夏の早朝、セミは枝を登り、素晴らしいのどを披露して、新しい一日の始まりを告げます。セミの卵は数年間にわたって地下で成長し、大きくなった後、さなぎから抜け出て木の梢に登り、声高らかに歌い始めます。フランスの博物学者・ファーブル は「4年間にわたる闇での苦労を経た後、ようやく太陽の光の下で一か月を楽しむのがセミの生涯だ」と言いました。数年間、うちに篭った夏のセミは、一か月の生命と引き換えに最も明るく、最も情熱あふれる歌手となり、懸命に命を燃やして歌を歌います。
夏の夜の思い出
多くの北京っ子にとって、セミの鳴き声は夏に欠かせない楽しみです。セミの鳴き声を聞くと、子供時代の楽しい思い出がよみがえります。当時、子供たちはいつもそれぞれ懐中電灯を持って、木の下でセミの幼虫を探しました。日が暮れると、賑やかな鳴き声ともに家に戻ります。夏の夜はセミの鳴き声が伴ってこそ、すやすや眠ることができました。セミの鳴き声は夏の美しい思い出の1ページに刻まれています。
セミの大合唱
真夏の夜、夜空に浮かぶ月が静かな村や野原を照らす中、一匹のセミが鳴き始めると、ほかのセミたちも相次いで声を上げ、たちまちセミの大合唱になります。さらに蛙やスズムシの鳴き声などの独唱も加わり、賑やかな協奏曲を奏でます。そんな協奏曲は、色彩豊かで生気あふれる様子を感じさせます。
高らかなソプラノはまるで中年の婦人がいたずらした子供を叱っているよう、優しいアルトはまるで若い女性が優しく歌っているようです。また、重厚なバスはお爺さんがパイプをくわえて咳をしているようで、バリトンのような声は酔っている大男が陽気にほらを吹いているように聞こえます。この時、私も一匹のセミになりたくて、この生命の息吹にあふれる大合唱に参加したいと思ったほどです。
「中華網日本語版」より