長さ84メートル、高さ41メートル(14階建てに相当)の長いエスカレーター、バリアフリーのゴンドラ式の斜めに進むエレベーター……このほど、京張高速鉄道が開通し、北京市延慶区の八達嶺長城景勝地内にある八達嶺長城駅も運営を開始した。八達嶺長城駅は深さ102メートルで、世界一深い高速鉄道駅である。地下の奥深くにあるため、駅を出入りするための長いエスカレーターが最大の見どころとなっており、乗客に特別な感覚をもたらす。
駅から長城のロープウェイ入口まで徒歩2分
北京青年報の記者はこのほど、八達嶺長城駅を訪れた。夕日が沈む頃、駅の地上の建物は荘厳だが控えめで、「自然を尊重し、山に隠れる」という設計理念を完全に実現している。市郊外鉄道S2線の八達嶺駅と比べると、八達嶺長城駅は長城のロープウェイ入口までわずか数百メートルと近く、駅からロープウェイ入口までまで徒歩2分で到着する。
八達嶺長城駅の総建築面積は4万9000平方メートルで、地上の建物と地下の駅の2つの部分からなる。地上の建物は9000平方メートル、地下の駅は4万500平方メートル、駅校舎の設計旅客流動は1500人。地上の建物の入口と出口は2つずつで、入口の両側に4つの乗車券販売窓口と1つの公安手続き窓口がある。窓口の向かいに自動券売機が7台設置されている。
記者が確認したところ、これらの自動券売機の機能は優れており、販売、受け取り、変更、払い戻し、公安手続きの多種の機能を備え、完全セルフを実現している。清河駅と同じで、ここにも可視化遠隔券売機が設置され、窓口に行かず、動画を通して乗車券業務を済ませることができる。身分証での購入のほか、戸籍簿をスキャン認証して購入することも可能で、高齢者の使用に適している。
八達嶺長城駅には改札機を通って入る。4つの改札機はすべて験検一体化新システムを搭載し、第2世代身分証、パスポート、香港・澳門通行証、台湾往来大陸通行証、外国人永久居留証、中鉄銀通カード、12306動態QRコードなどを直接かざして通過でき、乗車券は必要ない。
エスカレーターの長さは80メートル超 14階建てビルに相当
世界一深い高速鉄道駅で、エスカーレーターは最も重要な部分である。八達嶺長城駅のホームから地上の建物までの高さは62メートルに達し、ホームまで行くのに3つのエスカレーターを使用しなければいけない。まず、地上の建物から9メートル降りて待合室に行き、そこで乗車券を点検し、40メートル降りてホームの通路フロアに行き、さらに13メートル下のホームに降りて乗車する。駅を出る際は2つのエスカレーターを使用し、ホームから20メートル上がりホームの通路フロアに行き、42メートル上がり地上に出る。
地下の待合室は明るく、500席以上がホール全体に設置されている。トイレ、第3トイレ、ベビールーム、水飲み場を完備し、中でもベビールームは3つのプライベート空間を設置し、お母さんたちの利用を便利にしている。また、スマート案内機もあり、列車の情報を随時確認できる。
京張高速鉄道は全線に電子乗車券を採用し、「身分証スキャン+顔認証」を通して身元確認と乗車を実現。待合室に6台の改札機を設置し、身分証またはQRコードスキャンだけで乗車できる。
乗車券の確認後、八達嶺長城駅の最大の見所である長いエスカレーターが見える。駅に入る際に乗る3つのエスカレーターは高さ40メートルと80メートル、出る際に乗る2つのエスカレーターは42メートルと84メートル。長いエスカレーターから下を見ると、終わりがみえず、降りていくにつれて地心に入っていくような感覚になる。出る際は、84メートルのエスカレーターに乗ると、天に飛び立つようなタイムスリップ感がある。
エスカレーターは急勾配で、手すりを持ち、携帯電話を操作しないよう呼びかける放送が流れている。エスカレーターで地下の通路フロアに降りると、ホーム1番線(張家口方面)と2番線(北京方面)の入口が現れ、またエスカレーターに乗ってホームに行く。
八達嶺長城駅はバリアフリーのエレベーターも設置し、行動が不便または大きな荷物を持っている乗客はエレベーターを利用できる。エスカレーターの横にあるエレベーターにも特徴があり、ゴンドラ式の斜めに移動するエレベーターで、ロープウェーに乗っているような感覚である。
広い扉で隣接する2つの高速鉄道のドアをカバー
八達嶺長城駅は非常に広く、前線に半閉鎖式のホームドアを設置。京張高速鉄道は全線スマート高速鉄道で、時速350キロの全自動運転を実現し、これらのホームドアの開閉も初の全自動を実現した。ホームドアの間隔は広く、全開にすると隣接する2つの高速鉄道のドアをカバーし、素早く乗車できるようになっている。
そのほか、駅の複数箇所に救援通路、緊急通路の表示がある。地下鉄駅の安全を考慮し、同駅は環状の救援通路設計を初めて採用し、緊急時に死角なしで急速に救援でき、一部の救援通路は車両も通ることができる。
駅の運営開始後、中国鉄道北京局集団有限公司通州車両区間の八達嶺長城駅の駅員31人は旅客に奉仕する。
清河から八達嶺まで最短19分
これまで、市郊外鉄道S2線は週末と祝日に八達嶺長城に行く人が最も利用する交通手段で、始発駅の黄土店駅から八達嶺まで1時間~1時間半かかり、料金は7元、公交一卡通を使用できる。京張高速鉄道の開通後、清河駅から八達嶺長城駅までの所要時間は最短19分になる。最も低ランクの二等席の料金は23元。
12306サイトの乗車券販売状況を見ると、2020年1月1日から、北京北駅と清河駅から八達嶺長城駅までの列車は1日7本で、北京北駅始発は5本、清河駅始発は2本となる。北京北駅から八達嶺長城駅までの所要時間は33~34分、二等席の料金は27元と29元。清河駅から八達嶺長城駅までの所要時間は19分、二等席の料金は23元。