由緒ある立派な塔である「天寧寺塔」

2020-11-25

北京の西城区に「天寧寺塔」という古い塔がある。北京では天寧寺という地名も知られているのに、それに、天寧寺塔は場所によってはよく見えるのに、「天寧寺塔」を知って人が少ないという不思議な塔である。よく見えるのに知られていないというのは、既に寺はなくなり、「天寧寺塔」は何故か工場ような敷地の中にあって、その敷地の中に入れるわけでもなく、ただ荒れ果てたまま突っ立っているという状態であり、あえて見に行く人もいないという状態だったからというのが原因かもしれない。

それが2007年に整備され、寺も再び造られて、無料で開放され参観できるようになった。オリンピックの為の整備であったかもしれない。その寺は尼寺であるからなのか尼さんがいた。

由緒ある立派な塔であるのに保護もしていないし、観光資源としても利用していないありさまは、文化財を大切にしないというマイナスのシンボルのように思われたが、今ようやく参観できるようになった。

「天寧寺塔」は遼の時代に建てられた、八角十三層の庇を持ち、57.8mの高さだ。中身が詰まっているレンガでできた塔である。遼は契丹族が建てた国で、中国における征服王朝の一つであるが、北から南下し、北京を含む長城以南の燕雲16州をも占領し、宋と対立していた異民族の国である。遼が栄えたのは第6代聖宗、興宗、道宗(三代で在位982~1101)の3代約120年間という。そしてその頃に「天寧寺塔」ができたということなので、約900年前の塔ということになる。

元が北京を都を定めるまでのずっと以前の北京は、遼や金の異民族の時代の南の都であり、遼や金の都は無くなったが、遼や金の都の中にあった「天寧寺塔」だけが今に残っているというわけである。

「天寧寺塔」は仏塔であるが、そこに掘られている金剛力士や菩薩の像は、言われてみれば唐や宋の仏像と違って、北方の少数民族の風格を漂わせているようにも見える。また三層の庇のそれぞれには風鈴のようなものがぶら下っていて、風にカラカラと乾いた音を立てた。この風鈴のようなものが、900年前位も前のものだったら本当に凄いことなのであるが。修復された風鈴なのかもしれない。

皆さんも、首都としての北京よりずっと古い「天寧寺塔」を、そしてなかなか風格のある「天寧寺塔」を見に行ってみては。中国に多いキンキンキラキラのお寺や仏塔を見たときとは別の感銘を受けると思う。

北京旅游网翻译

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