北京西城区前門西河沿街220号に位置する正乙祠戯楼は、かつての銀号会館であり、中国で最も古く、完全な姿で保存されている純木造の戯楼であり、「中国戯楼の生きている化石」とも呼ばれています。その評価は、悠久な歴史に由来するだけではなく、中国の戯曲公演史上に残した濃密な描写にもあります。この百年来、梅蘭芳、譚鑫培などの名優はここで次々と登場し、その繁華と栄光を目の当たりにしてきました。年月の跡が残っている正乙祠戯楼では、数百年にわたる戯曲の発展史を感じ取って触れることができると言えます。
今回の正乙祠戯楼の開幕公演シーズンは、定番の『天官賜福』、戯楼版の『牡丹亭』、復刻版の『墻頭馬上』、『怜香伴』など4つの歴史的にゆかりのある演目が、次々と上演されます。定番の『天官賜福』は戯楼の専属のもので、開幕の祝祭劇として初披露されました。今回の『天官賜福』は、昆劇の芸術美学と中国伝統の祝祭文化を踏襲し、時代の美的感覚認知と古めかしい戯楼を結びつけて創作や改編を行い、観衆に歴史の重厚感と時代の発展力を兼ね備えた「没入型」の体験を提供します。
現在、北京市内8か所の会館で「会館に戯曲」(会館有戯)というシリーズの公演が行われています。「会館に戯曲」シリーズは会館の特色に着目し、会館の雰囲気に合いながら伝統文化の魅力が表現できる精巧で美しい小型演出を絶えず打ち出しています。湖広会館、顔料会館で上演されていた「会館に戯曲:湖広に出会う」「会館に戯曲:顔料に出会う」公演シリーズをはじめ、臨汾会館、福州新館、台湾会館なども次々と公演が展開されています。このほど、梅蘭芳記念館、報国寺、正乙祠戯楼が共同で「会館に戯曲」公演シリーズの演目を準備し、『梅蘭芳に出会う』シリーズの『游園尋梅』、没入式の曲劇『茶館』、正乙祠版の『天官賜福』などのすばらしい演目が交互に上演されました。(陳丹丹 訳



