会館とは、首都や主要都市にある同郷や職業の人たちが集まって宿泊するための専用の場所です。北京は、国の政治・文化の中心地として、会館を生み出しただけでなく、最も集中している場所と言われています。

北京の会館の建設は明朝に始まり、清朝に最盛期を迎えました。1949年11月の北京市民政局の統計データによりますと、市内の会館は総391軒です。このうち33棟は明代に建てられたもので、最も古いものは明の永楽時代に建てられた南昌会館です。 清朝には341棟、中華民国初期には17棟の会館が建設され、最も新しいものは1936年に建設された湖北大治会館です。 チベットを除く31の省、自治区、中央政府直轄市（台湾省を含む）が北京に会館を設置している作業を持続的に進めました。

北京会館の生まれと発展は、中国古代の官吏制度や科挙制度と密接な関係があります。 1421年に明成祖朱棣が北京に都を移してから、朝廷の官員は全国から集まり、都の外に転勤することも多く、引退するときには出身地に戻らなければならないことも少なくなかったのです。会館は主に同郷の官員や商人の社交場として利用され、その大半は士人会館でした。

明清時代、科挙試験の期間には全国から数千人の受験生が北京に集まりました。貧しい学生の宿泊問題を解決するため、明の嘉靖から隆慶にかけて、北京に多くの会館が出現しました。主に受験生の宿泊施設として利用され、花市上頭条の遵化試館や花市上頭条の蓟州試験場など、「試験場」と呼ばれました。

経済が盛んになりますと、財界人は自らの利益を守るために、会合や審議、宴会などを行う必要があり、商業会館が設立されました。明の時代には、顔料産業の山西平遥会館、穀物・食用油産業の臨襄会館など、最も古い商業会館が建設されました。一般的には業種別に設置され、「行館」とも呼ばれました。

明の時代には、北京の城の内外に会館があり、西に比べて東の方が圧倒的に多かったのです。この分布は、明代の運河が都に入る士人の主要な交通路であったことと直接関係があり、運河の近くに会館が多く配置されていたのです。明の時代には、内城と外城の間に一定の役割分担があり、内城は主に都の定住者のために官員が主宰する会館、外城は主に商人や一時的に都を訪れる人々のために商人が主宰する会館でした。

清朝では、内城が八旗に占領された後、ほとんどの会館は外城に集中し、玄武門以外の地域に士人が集中したため、会館分布の重心も東から西に移動し、玄武門地域に集まるようになりました。統計によりますと、清朝では10軒のうち7軒が宣南地区にあり、10軒のうち3軒ほどが外城の東部にあったということです。士人と商人が一体化していた社会構成を有する明朝とは異なり、清朝では商館は商人を受け入れないという明確な役割分担があったのです。

会館は、独自の文化現象として、発生、発展、消滅の過程をたどりました。1905年、清朝が科挙試験を廃止した後、受験生を受け入れる試験場の機能は消滅したが、出身地別に会館が設立されたため、同郷会としての機能は保たれました。中華民国初期、北京がまだ首都としての地位を保っていた北洋時代には、同郷会としての会館の機能は新たなピークを迎えた。

1928年、首都が南下したことによって、北京は政治的地位が低下し、経済も不況で縮小し、会館の収入も維持できなくなり、中には役員も見つからなくなったところもありました。1937年に戦争が始まると、北平は没落し、すべてのビジネスが不況に陥り、会館の家屋の多くは荒れ果てたのです。

新中国成立後、北京市人民委員会が各省と交渉し、北京市民政局が会館の財産を譲り受けました。1984年、文化財管理部門は相次いで文化財価値のある会館を国家、市、区レベルの文化財保護部門に制定し、安徽会館が国家重点文化財保護部門、陽平会館、、汀州会館、南海会館、順徳会館、中山会館、湖広会館、正乙祠が市レベルの文化遺産保護単位に制定されました。（韓晴　訳）