【新華社北京1月9日】中国北京市有数の観光地、什刹海(じゅうさつかい)は市中心部の故宮からわずか数キロの距離にある湖。元の時代には積水潭と呼ばれ、首都・大都(現在の北京市)の重要な水源だっただけでなく、城内各所の水位と流速を制御する水門が設けられるなど水管理の重要な場所でもあった。
元代の科学家で水利事業家の郭守敬(かく・しゅけい)が水系の接続や河川の浚渫(しゅんせつ)などさまざまの措置によって、中国の南北をつなぐ元代の大運河を完成させたことで、物資の輸送量が飛躍的に増大し、大都は空前の繁栄を迎えた。当時中国を訪れたベネチアの商人マルコ・ポーロは著書『東方見聞録』で、運河の終点で埠頭の役割を果たした什刹海一帯の繁栄ぶりを詳細に記した。
什刹海は、西海、後海と前海の三つの湖で構成されている。現在の西海は都心部における希少な湿地公園となっており、独特の湿地生態、生物多様性の豊かさ、季節ごとに変わる美しい風景が見られ、にぎやかな通りと自然が接触する素晴らしい場所になっている。
敷地面積10・9ヘクタール、うち水域面積は7・4ヘクタール、周辺緑地面積は3・5ヘクタールで、周辺には匯通祠(郭守敬記念館)、三官廟、普済寺、徳勝門箭楼などの史跡が密集する。
生物多様性は極めて豊かで、シダレヤナギ、ヤマモモ、アブラマツなどの木のほか、国の1級保護動物であるコウノトリや2級保護動物のクロツラヘラサギ、アオサギなど多くの水鳥も見られる。複数の遊歩道や、自転車道、観鳥台、美術館などが設置され、日頃から多くの市民や観光客がバードウォッチング、アウトドアスポーツ、レジャーに訪れている。(記者/王巍)