スイカは夏を代表する果物であり、「真夏の王様」とも称される。

スイカは92%もの水分と豊富な微量元素を含んでおり、一口かじると、ジューシーで甘い果肉が口いっぱいに広がり、暑さを和らげ、喉の渇きを癒してくれる。

北京市内のあちらこちらでスイカがすでに食べ頃を迎えている。この夏、「初スイカ」を摘みに行こう！

北京市大興区は「中国のスイカの郷」として知られており、長い栽培の歴史を持ち、千年前の遼の太平年間にはすでに大興でスイカの栽培が始まった。

大興区ではスイカの栽培面積が集中しており、とりわけ龐各荘鎮をはじめとする10の郷鎮が主な産地となっている。この地域のスイカは、砂質の食感、甘さ、シャキッとした歯ごたえで有名である。

大興区では毎年「スイカ祭り」が開催され、各地の農家が自慢のスイカを出品し、国内外から多くの観光客を惹きつけている。今年、第37回北京大興スイカ祭りは既に開始した。

大興区龐各荘鎮

龐各荘鎮ではスイカの栽培面積が2.5万ムー（約1667ヘクタール）に達し、現在は大興地理的表示製品保護および安全農産物追跡ラベルに指定されている。

大興区龐各荘鎮は温帯半乾燥の大陸性モンスーン気候に属し、日射量が多く、昼夜の寒暖差が大きいため、糖分の蓄積に非常に適している。また、永定河沖積平野に位置し、土壌は肥沃で通気性・熱伝導性に優れ、スイカの栄養吸収に適した環境が整っている。さらに、スイカの成長に不可欠なホウ素、マンガン、マグネシウムなどの微量元素も豊富である。

龐各荘鎮の「老宋瓜園」は2003年4月に設立され、現在はL600、北農佳麗、京彩シリーズ、炫彩シリーズ、全美シリーズなど100種類以上の高品質スイカを栽培している。

園内のスイカはすべて立体栽培方式を採用し、1本のつるに1玉のみを実らせることで、スイカ1玉ごとに十分な栄養を行き渡らせ、葉・茎・果実すべてに360度の光を確保している。その結果、見た目が丸く、糖度が均一、水分たっぷりで、食感もきめ細かくなっている。

大興区安定鎮

安定鎮徐柏村にある北京安颐富セレン摘み取り農園のスイカハウスには、丸く鮮やかな小玉スイカがつるの間に実り、見るからに美味しそうである。

この農園ではおよそ20ムーのスイカが栽培されており、そのうち温室が8ムー、簡易ビニールハウスが12ムーである。主な品種は「小蘭」とL600である。「小蘭」は山東省から導入された黄肉スイカで、口当たりが非常に良いである。

セレンを多く含む「富セレン小玉スイカ」は、口に入れるとすぐに溶けるほど柔らかく、繊維がなく、シャキシャキしていて「アイスクリームスイカ」とも呼ばれている。軽く弾くだけで、スイカは「パーン」とはじけて、香りがふわっと広がり、夏の味が鼻先をかすめる。一口食べると、シャキッとした甘さと果汁たっぷりの美味しさが口に広がり、幸福感が一気に満タンになる！

大興区魏善庄鎮

魏善庄鎮沙窝村は永定河沖積平野に位置し、地形は平坦で、独特の水・土壌・気候条件を備えている。下層は粘土、上層は砂地という「蒙金土」は通気性が高く、熱伝導も良好。また、各種微量元素やミネラルが豊富に含まれている。

北緯39度の大陸性モンスーン気候によって、日照時間が豊富で昼夜の寒暖差も大きくなっている。

沙窝スイカの品種はL600で、ハウスに入ると甘い香りが漂い、熟したスイカを1玉もぎ取ると「ポン」と音を立てて、緑の皮が割れ、中から真っ赤な果肉が現れる。沙窝スイカの糖度は15度前後と高く、甘くて美味しいである。

順義区もまた、スイカの重要な栽培地域であり、北務鎮と楊鎮が主な産地で、栽培品種には京美8K、幕田紅星、麒麟スイカ、種なしスイカなどがある。李橋鎮の甘スイカも非常に特徴的である。

順義区北務鎮

北務鎮では約1000ムーにわたる小玉スイカが栽培され、収穫量は約400万キロに達している。

小玉スイカは楕円形で、赤い果肉を持ち、食感が良く、1玉の重さは2〜2.5kgである。なかでも「小珠宝（小さな宝石）」という小玉スイカは、品質が良く、甘さも高いため、消費者から高く評価されている。

北務鎮は土層が厚く、通気性に優れ、土壌の水分浸透力が高いため、小玉スイカの根の成長・栄養吸収に適している。現地の農家はスイカ栽培技術に熟達しており、ミツバチによる受粉方式を取り入れ、栽培基準を厳格に管理している。そのため、実が丸く、糖度が均一で、しっかりと栄養を供給しながら、自然に成熟する。

順義区李橋鎮

緑皮×赤肉、緑皮×黄肉、黄皮×赤肉、緑皮×緑肉、緑皮×虹色肉…北京順沿特種野菜基地ではハウスから摘み取ったばかりの甘スイカが、それぞれ異なる色や味わいを持ち、果肉が厚く皮が薄く、一口かじると、口の中いっぱいにスイカの香りが広がる。

この基地では2021年から京牌炫彩スイカの栽培を始め、順義区で初めて特色ある小型スイカを大規模に栽培した園区とななった。「炫彩シリーズ」スイカは果実の保持期間が長く、皮がしっかりしており、市民の摘み取り体験に向いているほか、割れにくいため短中距離輸送にも適している。

「炫彩シリーズ」は糖度が高く、品種が豊富で味も良く、果肉中心部の糖度は13%以上、一部の品種では16%にも達つ。

基地では、伊麗莎白（エリザベス）、光輝L1000、紅翡翠など30種類以上の甘スイカに加え、カボチャ、ナス、トマト、レタスなど10種類以上の新鮮な野菜も市民の摘み取り対象となっている。

順義区楊鎮

楊鎮ではスイカ栽培の歴史が100年以上に及ぶ。

通気性・排水性に優れた砂質土壌、病害虫が少なく、水・肥料をよく保持する特性が、皮が薄く、果肉が緻密で、糖度の高いスイカを育てる。栽培には有機肥料、害虫防止ネット、ミツバチ受粉を用い、高品質で無農薬のスイカ作りを実現している。

楊鎮荆坨村では約230ムーのスイカ畑があり、年間生産量は200万斤（約1000トン）を超える。高い栽培技術と恵まれた環境のおかげで、ここで栽培された麒麟スイカは糖度が高く、シャキッとした食感、皮が薄く果肉が厚い、鮮やかな赤色でジューシーかつ甘みたっぷりである。

良いスイカの見分け方

一に音を

熟したスイカは果肉の繊維が分解されて硬度が低くなっており、叩くと振動が低く、太鼓のような音がしてわずかに震える感触がある。過熟のスイカは音が鈍く、未熟のスイカは振動が高く、音も高く澄んでいる。

二に見た目

模様がはっきりしていて、色が濃く、模様の間隔が広く、形がふっくらしているスイカは品質が良いである。また、つるも重要な判断基準である。つるが新鮮なら収穫してから時間が経っていない証拠で、つるが曲がっていれば成熟しており、まっすぐだと未熟の可能性がある。さらに、熟したスイカは、へたやお尻が少し凹んでいる。

三に触感

成熟したスイカは表面の産毛が取れており、皮がつややかで丸みを帯びている。皮が柔らかく凹んでいる場合は、中が傷んでいる可能性があるため、購入を避けて方がよい。